愛知県で3年に1度行われる国際芸術祭。4回目の開催となる今回は、ジャーナリストの津田大介(つだ・だいすけ)が芸術監督を務める。アート界の外部からの芸術監督就任ということで、発表された際には様々な意見が飛び交ったが、参加アーティストの数における男女差をなくしたという一点のみにおいても極めて意義のある人選だったといえるだろう。優れた女性アーティストが多数いるにも関わらず、これまでの芸術祭において不自然なほどに男性作家の占める割合が高かったことは、ビジネスや政治の世界と同様にアート業界もまた男女平等とは程遠い状況にあることを如実に物語っている。
ただし、数合わせのために女性アーティストが優遇されたのではなく、当然のことながら男女ともに十分に魅力的な作家たちが選ばれているということは強調しておきたい。メキシコのフェミニズムアートのパイオニア、モニカ・メイヤー(Mónica Mayer)が参加することも象徴的だが、ジャーナリストとしても活躍するジェームズ・ブライドル(James Bridle)など、社会性の高い作品を発表するアーティストが多数参加していることも津田芸術監督ならではの特徴といえる。小田原のどかや毒山凡太郎(どくやま・ぼんたろう)といった、実力派の若手日本人アーティストが積極的に取り上げられていることもうれしい。パフォーミングアーツの部門では、ダンスに強い印象のある同芸術祭だが、今回は相馬千秋(そうま・ちあき)キュレーターのもと、小泉明郎(こいずみ・めいろう)やサエボーグらによるアート性の強い演劇作品が予定されている。震災後の東北を拠点に活動する小森はるかや、「映像制作集団・空族(くぞく)」の富田克也(とみた・かつや)らの参加が発表された映像プログラムにも注目だ。