オランダ現代美術を代表する作家ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ(Wendelien van Oldenborgh)。映像作品やインスタレーションの分野で活躍を続ける同アーティストの国内初個展が、「東京都現代美術館」でスタートする。初期作や代表作、新作までを含む6点の映像作品を、フレームを定めない舞台セットのようなインスタレーションとして展示していく。
「マウリッツ・スクリプト」と「偽りなき響き」の初期2作品は、作家の重要な要素である「多声性」を如実に感じるものだ。「ふたつの石」は、建築家のロッテ・スタム=ベーゼと差別的な住宅政策に抗議した活動家のエルミナ・フイスワイドを取り上げ、両者の理想や不協和音について現在活動する建築家や住民が語り合う。
同展をきっかけに東京で制作する新作は、主に1920〜1940年代の女性文筆家たちのテキストにフォーカスし、現代社会との連続性を探る。他者と協働しながら実験的な制作を行ってきた作家の神髄に迫ってみては。