画家・植竹邦良の全貌を初めて紹介する企画展が、作家が暮らした府中の「府中市美術館」で開催。植竹は、戦後日本の政治、社会、都市開発といった世相を、徹底した細密描写で描き込んだ画家だ。
展示は、3つのセクションで構成。前半では若き日に描いた貴重なスケッチから始まり、1960年代以降の混沌(こんとん)とした社会を落とし込んだ夢想的空間の絵画群を紹介する。
後半は、晩年まで継続していたという都市風景のスケッチや、高度経済成長下で増殖していく巨大構造物を取り込んだ、迫力あるダイナミックな作品まで網羅的に展示していく。
また、前衛画家の中村宏ら、植竹と同時代に活躍した4作家の特集展示も同時に行われる。1950年代から前衛美術会周辺の画家たちと接点を持ち、独自の幻想的な画風へと展開した変遷が読み取れるだろう。