人びとの感性と多様な価値観を刺激し、新たな美の可能性を押し広げる新進アーティストに資生堂が展示の機会を提供する公募プログラム「shiseido art egg」。第17回の入選アーティスト3人の個展が、銀座の「資生堂ギャラリー」で開催中だ。
2024年1月30日〜3月3日(日)の第1期展では、1984年大阪府生まれの林田真季(はやしだ・まき)の作品を展示する。現実社会をテーマに新たなアートとして写真の可能性を探求し続け、ロンドン留学を経ての入選となった。本展では、イギリス沿岸部の過去のごみ埋立地の姿と、日本各地の大規模不法投棄事案をリサーチした、独自のインスタレーションを構成する。
3月12日(火)〜4月14日(日)に開催する第2期展では、1979年兵庫県生まれの野村在(のむら・ざい)による作品を展示。現在は神戸とニューヨークを拠点に、写真や彫刻を素地とした様々なメディウムを通して変容し続ける情報媒体を独自の視点で捉えた作品を生み出し、人間の本質や存在の在り方を問い続けている。
第3期展は4月23日(火)〜5月26日(日)、1981年茨城県生まれのアーティスト岩崎宏俊(いわさき・ひろとし)の作品を紹介。実写映像をトレースしてアニメーションを制作する「ロトスコープ」という手法に着目。准教授として名古屋造形大学で研究を続けながら、本展では追憶をテーマに芸術表現としての可能性を探る。
3人の個展終了後には、新しい価値の創造を最も感じさせたアーティストに「shiseido art egg賞」が授与される。2006年のスタート以来、延べ48組の入選アーティストが個展を開催してきた本展。これまでのshiseido art egg賞の受賞者には、宮永愛子、今井俊介、川内理香子、沖潤子らが名を連ねており、今年の3人がどんな展示空間を作り上げるのか楽しみだ。