1970年、「大阪万博」の開催に合わせて完成した船場センタービル。そこから半世紀を超えてなお商都・大阪のど真ん中に鎮座するその姿は、2025年の「大阪・関西万博」を見守っているかのようだ。そんな「せんびる」の開館50周年を記念して登場したのが、巨大な壁画群を有する「船場ミューラルパーク(Semba Mural Park)」だ。元は3号館と4号館を結ぶ無機質な連絡通路だったが、今は異空間に大変身している。
総勢24人のアーティストによって製作されたウォールアートが続く様は、まさに圧巻。日本古来の文様をストリートに落とし込んでいるBAKI BAKI、幾何学的でありながらもどこか有機的でポップな柄や模様を描くMASAGONなど、大阪・関西を拠点とするストリートアーティストを中心にド迫力の作品が並ぶ。壁画だけでなく映像コンテンツも用意されており、何気なく通り過ぎようとした人が思わず足を止める姿も見られる。
本町〜堺筋本町といえば大阪でも有数のオフィス街。昼どきになると船場ミューラルパークにも憩いを求める人々が集まり始め、中央に設置されたテーブルと椅子で弁当を食べたり読書をしたりと、思い思いの時間を過ごす。
そんな人々の姿や地下鉄の通る音といった「日常」が巨大壁画という「非日常」に混ざっていくと、また作品が違って見えてくるから面白い。