「生活の中の美」を基本理念に、1961年の開館当初から絵画・陶磁・漆工・染織など日本の古美術や東西のガラスなど、約3000件のコレクションを収蔵してきた「サントリー美術館」。「サントリー美術館コレクション展 名品ときたま迷品」は、これまであまり展示機会のなかった作品を紹介するコレクション展だ。
ユニークなタイトルの裏には、「名品」か「迷品」かといった、美術品の価値づけを巡る問いが投げかけられている。これまでほとんど注目されてこなかった知られざる「迷品」も、ユニークな逸話や意外な一面を知ることで「名品」に思えるかもしれないし、その逆もしかり。通常の作品解説に加え、学芸員によるマニアックな情報も紹介する。
目の前にある作品が「名品」か「迷品」かを決めるのは鑑賞者、だからこそ自分だけの「メイヒン」を探そうという、かつてない楽しさが味わえる。美術品がいつもより身近に感じられそうな展覧会だ。