六本木の「泉屋博古館分館」で、 美術史からこぼれ落ちた規格外の日本画家・尾竹三兄弟を東京で初めて紹介する。重要作のほか、新出作品や未公開資料を通して既存の枠組みには収まりきらなかった、知られざる3人の全貌に迫る。
新潟県に生まれた尾竹越堂(おたけ・えつどう、1868〜1931年)、竹坡(ちくは、1878〜1936年)、国観 (こっかん、1880〜1945年)の兄弟は、明治に到来した展覧会システムを最大限に利用し、文部省美術展覧会をはじめとしたさまざまな展覧会で成功を収めた。しかし、実験的でラディカルな表現を試み、また時にエキセントリックな生き方を貫いた三兄弟は賛否両論の対象となり、美術史から外れていった。
彼らは従来のシステムに反発し、落選作を集めた展示の開催や、衆議院議員の総選挙に立候補するなど、美術行政制度の改革を社会へ主張していった。その後は展覧会から距離を置き、地元の注文に応じながら「東京都美術館」の設立でリーダーシップを発揮するなど、美術界の発展に力を尽くしている。
展覧会制度の光と影の中で、革新性と奔放な魅力にあふれた彼らの日本画。見逃さないでほしい。
※11~18時(金曜は19時まで)/入館は閉館の30分前まで/休館日は月曜(祝日の場合は翌日)/料金は1,200円、学生800円、中学生以下無料