神奈川県箱根町に開館し、2023年秋に10周年を迎える「岡田美術館」。これを記念し、伊藤若冲と田中一村の名品が並ぶ特別展が開催されている。
江戸時代に京都で活躍した"奇想"の絵師・伊藤若冲(1716~1800)と、昭和に独自の絵画表現を確立し、奄美大島の自然を描いた作品で知られる田中一村(1908~77)。近年、急激に人気と知名度が高まった二人は、意外にも共通点が多い。生涯独身、描くことだけを生き甲斐で、写生を徹底したことや、あでやかな彩色、画面に行き渡る緊張感など、作風においても似通う点が認められる。
本展は、若冲が精力的に描いた30代末頃~40代の着色画と、一村の奄美大島在住時代の代表作、それぞれの墨絵、同じ種類の鳥を描いた絵など、二人の作品を中心に、同時期に活躍した画家の作品や伝統的な花鳥画の屏風絵など、約40件が楽しめる。