川久保ジョイ Left is Right -45億年の庭と茹でガエルー
埼玉県東松山市の「原爆の図丸木美術館」で、ロンドンを拠点に活動する現代美術家、川久保ジョイの個展が開催。新作を含む作品群が、展示室と屋外の空間に公開される。
2014年ごろから、原子力発電所と原子力技術の利用に関する考察を巡る作品を発表している川久保。福島第一原子力発電所の事故以来、彼は当地へ赴き、土の中にネガフィルムを埋めて、一定の時間を置いた後に掘り返すという実験を行ってきた。展示室に設置された10枚のポラロイドは、芸術的実践を通じて福島の大地に関与し続けたコミットメントの記録でもある。
また、青森県の六ケ所村を中心に撮影された新作映像は、環境問題の文脈で提起された「Slow Violence(緩慢な暴力)」という概念から着想を得た。本作は、確実に進行しているが、認知されにくく対処もできない暴力というアイデアを巡りながら、本展の軸を形成している。
副題の一部である「45憶年の庭」とは、地球の年齢であり、そこから連想される人知を超えた時間軸が、本展を読み解く一つのキーワードだ。作品群と多層的に響き合うタイトルに込められた、川久保の哲学を深く感じることができるだろう。
※9~17時(12〜2月は9時30分〜16時30分まで)/休館日は月曜(祝日の場合は翌日)/料金は900円、18歳以下・中学・高校生600円、小学生400円、60歳以上・比企地区在住者・チラシ持参100円割引