国内外の現代美術において、書への注目度が年々高まる中、長年にわたり書の美を追求してきた書家の石川九楊(いしかわ・きゅうよう、1945年~)が、「上野の森美術館」を会場に2カ月にわたって大規模な個展を開催する。
会期の前半、6月に開催する「【古典篇】遠くまで行くんだ」では、代表作「歎異抄」「源氏物語」はじめ「李賀詩」「徒然草」「方丈記」「良寛詩」など、日本・中国の古典文学を題材にした作品群を展示。後半の7月に開催する「【状況篇】言葉は雨のように降りそそいだ」では、書は「文字を書くのではなく、言葉を書く表現」と考える石川が研究した、「言葉の表現」としての書を紹介する。
「書は『筆蝕(ひっしょく)』の芸術である」として、書の構造や歴史を読み解き、評論家としても活躍してきた石川。書の創作活動と、日本語論・日本文化論などの執筆活動の双方で最前線の取り組みを続けてきた。会期中には、筆蝕を計測・解析・数値化し音楽にした作品の演奏会や、石川が登壇する講演会も開催される。
※10~17時(入場は閉場の30分前まで)/休館日は会期中なし/料金は前売り1,800円、当日2,000円、中学生以下無料