「ワタリウム美術館」で、現在もポーランドを拠点に活動を続け、今年90歳を迎える鴨治晃次による日本初の個展が開催。1960年代から今日までに制作された絵画、立体作品、デッサン、インスタレーションといった作品群が展示される。
1935年に東京で生まれた鴨治は、戦後のポーランド芸術の主流を築いた、1960〜1970年代を代表する前衛芸術家の一人だ。鴨治の芸術的成果は、ポーランドの美術史とその文化遺産に永久に刻まれており、作品はポーランドの主要美術館で鑑賞できる。
鴨治の芸術のルーツは、西洋とポーランドの戦後美術である現代美術の伝統と日本の伝統の双方にある。また、1959年にポーランドへ向かう2カ月半の航海で感じた空間、空気、水の感覚や、友人の自死という悲劇的な出来事といった、私的な体験を想起させる要素も見られる。
自らのルーツである日本、現代美術への深い造詣、そして芸術的自己認識といったさまざまな文化の交差点で制作活動をしてきた鴨治。貴重な機会を見逃さないでほしい。
※11~19時/休館日は月曜(5月5日は開館)/料金は1,500円(ペア2,600円)、70歳以上、25歳以下の学生・高校生1,300円、小・中学生500円