土門拳は、徹底したリアリズムにこだわった報道写真や古美術、建築、風景などを独特の視点で切り取った、昭和を代表する写真家だ。ライフワークだった写真集「古寺巡礼」第1集が1963年に刊行され、60年後の今年「東京都写真美術館」で展覧会が開催される。
1939年に奈良の室生寺を初めて訪れ、翌年、広隆寺と中宮寺の弥勒菩薩を撮ったところから始まった古寺巡礼。太平洋戦争中も、そして自ら病に倒れ車椅子となった後も、全国各地100カ所以上の寺を巡り続け第5集の写真集刊行をもって完結した。
本展は、カラーの代表作と、モノクロームの仏像写真など約120点で構成。研ぎ澄まされた一瞬を、圧倒的な構図で切り取った土門の「目」を、美術館ならではの展示サイズで体感してほしい。