ジャン=ミッシェル・フォロン(Jean-Michel Folon、1934〜2005年)は、20世紀後半のベルギーを代表するアーティストだ。世界中で高い評価を得たその活動は、版画や水彩画、ポスター、文学作品の挿絵や舞台美術など多岐にわたる。
日本では30年ぶりの大回顧展となる本展は、初期のドローイングから、水彩画、版画、ポスター、晩年の立体作品まで、約230点を紹介する。色彩豊かで幻想的な詩情あふれる作品が多く、一見すると美しく爽やか、ユーモラスにさえ感じられるフォロンの作品だが、環境破壊や人権問題など厳しい現実への静かな怒りや告発が表現されている。
環境や自由への高い意識を持ち、抑圧や暴力、差別などに静かな抗議を続けてきたフォロンの芸術。デジタル化やパンデミック、戦争など、社会的に大きな曲がり角にある今こそ、改めて見直したい。
※10~18時(金曜は20時まで)/入館は閉館の30分前まで/休館日は月曜(8月12日・9月16・23日は開館)、7月16日/料金は1,500円、学生1,300円、中学生以下無料