⽇本の伝統的な染織技法である⽷⽬友禅染の技術や、色のにじみやぼかしで描くステイニングの技法で、国内外で創作活動を続ける石井亨(いしい・とおる)。天王洲のアートギャラリー「ソウキョ アツミ(SOKYO ATSUMI)」で、ロンドン芸術⼤学への留学などを経てさらなる進化を遂げた、石井の最新作が展示されている。
「漂う/ DRIFTING」のタイトル通り、東京を漂流するように巡って出合った風景と、現代社会を象徴するようなモチーフを、令和の浮世絵のようにカラフルかつ緻密に描いた「東京景」シリーズは圧巻の一言。また、日本とロンドンの⽔の違いで、染⾊に変化が生じたことから着想したという「隅⽥川」や「渋⾕川」など、実際の川の⽔で染めてその湿度を可視化し、現代の川の⾵景を⽣成するシリーズにも注目したい。
広いホワイトキューブに多様な作品を展開した空間全体と、細部まで描き込まれた作品一点一点、視点や思考がマクロとミクロを行き来する、見ごたえのある展示構成だ。