日本の書画や中国・日本の陶磁器など、東洋古美術を中心に展示を行う丸の内の「出光美術館」で、江戸時代の文人画家、池大雅(いけの・たいが)の山水画に注目した企画展が開催中だ。
文人とは、中国の学問の素養を持つ教養人のこと。京都に生まれた池大雅は、幼い頃から中国の文人文化や文人画に憧れ、中国絵画の技法を踏襲しつつ数々の名作を描いている。また、自由でおおらかな生き方を実践したことでも知られ、日本の自然や登山、旅をこよなく愛し、同時代を生きる知識人たちと交流したという。
本展では、40代半ばごろに制作した六曲一双の屏風「十二ヵ月離合山水図屏風」(重要文化財、出光美術館所蔵)をはじめ、富士図や中国の名勝図、四季山水図、色の点描だけで樹葉のさざめきや水面のきらめきを表現した作品などが数多く展示される。今も昔も、美しい自然の風景に感動する気持ちは同じだと思えるような展覧会だ。