日本では「更紗(さらさ)」の名前で知られ、着物や茶道具などで人気を集めるインド布。その歴史と魅力を紹介する特別展が、虎ノ門の「大倉集古館」で開催中だ。
展示されているのは、インド美術の研究と細密画や古染織品の収集で知られる日本画家の畠中光享のコレクション群。ヨーロッパに渡った豊かな色彩のエキゾチックな柄のパランポールをはじめ、1枚作るのに最低3年はかかるといわれるカシミールショール、インド国内の宮廷や寺院で使われた金銀糸織、今では技法さえわからないほどの複雑な絞り染めのターバンなど、貴重な品々が並ぶ。
17世紀以前、世界で唯一、赤や黄などの色で木綿を鮮やかに染める技術を持っていた国であるインド。今見ても繊細で美しく、エキゾチックなデザインの数々を通して、インド染織の幅広さと奥深さが楽しんでほしい。