1960年代後半のアメリカで興ったミニマル・アートを代表する彫刻家のカール・アンドレ(Carl Andre)。日本の美術館における初個展が、作家夫妻と所属ギャラリーの全面協力により、千葉県佐倉市の「DIC川村記念美術館」で実現する。
天井高7メートル、広さ約400平方メートルの企画展示室を壁を立てずに使用。同一の形と大きさに加工した木、金属、石を床に直接置いて規則的に配した彫刻作品群や、日本では紹介されることの珍しい小さな彫刻も展示する。特にスケールの大きな作品として、人の背丈を越えるL字の金属板が並び、横幅15メートルにもおよぶ作品「上昇」(2011年)が展示される点も注目だ。
また、知る人ぞ知るアンドレの詩も紹介。タイプライターで打ち込まれた断片的な単語で構成されており、読んでも眺めても楽しめる。彫刻に通ずる空間的、構造的な認識や、文学、美術、歴史、政治など作家自身の幅広い思考が反映された作品といえるだろう。
彫刻と詩という離れた表現で展開する、簡潔ながらも単純ではないアンドレの作品を楽しんでほしい。