現代美術家のツァイ・グオチャン(蔡國強)が、日本で暮らした30年前に東京で開催した個展「原初火球 The Project for Projects」。彼の原点となった同展から現在までを網羅的に紹介する大規模個展が、六本木の「国立新美術館」で同館とサンローランの主催により開催中だ。
2000平方メートルもの展示室を広場ととらえ、インスタレーション〈原初火球〉の再現展示や、LEDを使ったキネティック・ライト・インスタレーション《未知との遭遇》、国内の国公立美術館の所蔵作品、日本初公開のガラスや鏡に焼き付けた新作、そして知られざる多数の貴重なアーカイブ資料や記録映像などを、作家自身による説明とともに展示している。
蔡は、東洋古来の哲学や思想に立脚しつつ、風水や占星術にもつながる宇宙、そして目に見えない世界や、昨今のAIにも魅了されてきた。破壊と再生が共存する「爆発」を用いた表現の変遷は、壮大な旅路のようだ。