現在、樹齢250年になるこの老松(岩手県陸前高田市気仙町字砂盛176-6)は、単独で立っている。かつてはこの海岸沿いに存在していた7万本の雑木林のうちの1本だった。2011年3月の津波が襲ったとき、波高は15mにもおよび、その轟きは浅瀬の湾全体に響いた。その波は街を倒壊させ、たったの1本を除くすべての木をなぎ倒した。人々はこの松を「奇跡の一本松」と呼んでいる (この木は1896年と1933年の津波も耐え抜いた)。その後、自治体はこの木の保存のために1億5,000万円もの予算を調達した。
タイムアウト東京 > トラベル >東北探索 第4回『復興に向けて立ち上がる東北地方』
「3.11」日本国民に大きな衝撃を与えた東日本大震災から5年が経つ。巨大津波が東北地方を襲い、原子力発電所事故という最悪な状況に陥った。今月、10日に会見を行った安倍首相は、今後5年間を「復興、創生期間」と位置づけると表明。現在でも、放射能汚染や原発再稼働、避難民など問題が山積みである。タイムアウトニューヨークの記者が現在の東北を巡る連載では、最終回として壊滅的な被害を受けた陸前高田をレポート。『Rising up again in northeastern Japan』と題し、この地域に住む人々の現状を伝える。
第1回『武士の歴史を追って 福島県西部』
第2回『東北で見つけた海の生き物たちとフラダンス』
第3回『宮城で島めぐりと人間観察』
第4回『興に向けて立ち上がる東北地方』