運転開始セレモニーが行われたコープ東北羽川風力発電所
運転開始セレモニーが行われたコープ東北羽川風力発電所

東北アップデート:風力発電から考える

再生可能エネルギーは東北復興の足がかりとなるか

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Text by Nick Narigon

秋田県の海岸に設置された3基の風力タービンは、今日も日本海から吹きつける風を利用して電力を生み出している。2016年10月に稼働を開始したコープ東北羽川風力発電所は、約4500世帯分に相当する電力を年間でうみ出し、火力発電と比べて約9000tもの二酸化炭素を削減することができる。

発電した電力は東北電力に売電され、風力発電所に出資した宮城県、岩手県、秋田県の生活協同組合に年間で計約3億3千万円の売上をもたらすことが見込まれている。みやぎ生活協同組合の宮本弘理事長は、「福島第一原発事故を受け、再生可能エネルギーの普及を目指し、東北地方でこの動きを推進していきたい」と語った。

2011年に起きた大地震と津波によって、東北は家庭や経済に大きなダメージを受け、原子力発電所は制御不能に陥った。しかし、震災からの復興を促進するためには、再生可能エネルギーは重要な成長産業になりうると組合は考えている。みやぎ生活協同組合の環境管理室長である大原英範は、「我々は原子力発電に頼らない社会を目指しており、約30億円かけて風力発電所を建設することで着実な第1歩を踏み出した」と話す。

上記の3つの組合が出資するコープ東北グリーンエネルギーは、将来的には太陽光やバイオマスによる発電も導入する予定だという。「再生可能エネルギーの導入拡大は、東北だけでなく日本にとって重要だ」と信じているからだ。

2011年の震災後、42基ある国内の商業用原子炉はすべて停止され、これまでに再稼働されたのは3基のみだ(2017年4月12日時点)。日本政府は、2012年にドイツに習って再生可能エネルギーの固定価格買取制度を実施。再生可能エネルギーによって発電された電力を電力会社が市場価格よりも高値で買い取ることで、再生可能エネルギーへの投資を加速させている。

環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長によると、その買取価格は年々下がる計画になっているが、技術的な発展に伴い発電コストの削減が可能となったといい、再生可能エネルギー業者の妨げにはなっていないらしい。再生可能エネルギーの固定価格買取制度が実施されて以来、太陽光発電は約2倍に増加し、日本のエネルギーミックス(電源構成)における再生可能エネルギーの割合は10%から16%に増加した。

政府は、2030年までにこれを22%まで引き上げるという目標を立てている。しかし、2030年までに倍の45%を目指すEUと比較すると、その割合は多いとは言えない。飯田いわく、日本が抱える最大の問題は、2015年に送電網を管理する電力会社が制定した、再生可能エネルギーの受け入れを厳しく制限するルールの存在だという。

日本政府が原子力や化石燃料を最優先している限り、「今後何年かのうちに、国内における再生可能エネルギー産業はより厳しくなるだろう」と飯田は懸念する。「もし送電網を使えなければ、再生可能エネルギーの導入は拡大できない。これは政策の問題だ」。

自然エネルギー財団の大林ミカ事業局長は、東北の再生可能エネルギー発電所は有利だと考える。日本最大の電力消費エリアである東京への電力供給を担っていた福島第一原子力発電所に回復不能なダメージが生じたこともあり、東北の3組合のような再生可能エネルギー発電業者に対して送電網が高い割合で与えられるからだ。

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