2011年の震災後、42基ある国内の商業用原子炉はすべて停止され、これまでに再稼働されたのは3基のみだ(2017年4月12日時点)。日本政府は、2012年にドイツに習って再生可能エネルギーの固定価格買取制度を実施。再生可能エネルギーによって発電された電力を電力会社が市場価格よりも高値で買い取ることで、再生可能エネルギーへの投資を加速させている。
環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長によると、その買取価格は年々下がる計画になっているが、技術的な発展に伴い発電コストの削減が可能となったといい、再生可能エネルギー業者の妨げにはなっていないらしい。再生可能エネルギーの固定価格買取制度が実施されて以来、太陽光発電は約2倍に増加し、日本のエネルギーミックス(電源構成)における再生可能エネルギーの割合は10%から16%に増加した。
政府は、2030年までにこれを22%まで引き上げるという目標を立てている。しかし、2030年までに倍の45%を目指すEUと比較すると、その割合は多いとは言えない。飯田いわく、日本が抱える最大の問題は、2015年に送電網を管理する電力会社が制定した、再生可能エネルギーの受け入れを厳しく制限するルールの存在だという。
日本政府が原子力や化石燃料を最優先している限り、「今後何年かのうちに、国内における再生可能エネルギー産業はより厳しくなるだろう」と飯田は懸念する。「もし送電網を使えなければ、再生可能エネルギーの導入は拡大できない。これは政策の問題だ」。
自然エネルギー財団の大林ミカ事業局長は、東北の再生可能エネルギー発電所は有利だと考える。日本最大の電力消費エリアである東京への電力供給を担っていた福島第一原子力発電所に回復不能なダメージが生じたこともあり、東北の3組合のような再生可能エネルギー発電業者に対して送電網が高い割合で与えられるからだ。