「気仙沼は甚大な被害を受けた。私たちのいちばんの目的は被災した人々のために仕事を創出し、仕事を通して誇りを取り戻してもらうこと」と御手洗(29)は語る。糸井と御手洗が初めて出会ったのは、互いがヒマラヤの小さな国、ブータンに興味を持っていたのがきっかけだった。御手洗は2010年、ブータン政府のもと国民幸福委員会の活動の一環で、観光促進の仕事をしていた。一方糸井は当時既にブータンのユニークな文化に魅せられており、御手洗のブログを見つけて両者の関係が始まった。
2012年に御手洗が日本に帰国すると、糸井は自身のアイデアの舵取りをしてくれるよう彼女に求めた。そのアイデアが彼女の起業家としての好奇心に火をつけた。「ブータンのような小さな国でさえ、世界的に評価されるような新しいモデルを作り出すことができた。そういったやる気こそが、私がブータンで得たもの。時には、小規模であることは有利になる。柔軟に仕事ができたり、新しいものを作りやすかったりする。仕事上、それが可能だと私は感じた」と彼女は言う。