Daitokuji Temple
Photo: Daitokuji Temple
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この冬、京都で石庭を楽しむ5のこと

名庭園を巡り、知り、食べる……

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テキスト:間庭典子

四季折々の風景が美しい京都。冬にぜひ訪れたいのが石庭だ。澄んだ空気のなか無彩色の庭では、石の表情や配置、小石を波に見立てた砂紋などのミニマムな表現が一層際立つのだ。

抽象的な禅問答がその風景に隠されていたり、身近な風景を石で見立てたり、伝統的な日本庭園の在り方は奥が深い。そうした背景を知ることで、石庭の面白さは何倍にもなる。

例えば、JR東海による『京都 禅寺と石庭めぐりプラン』には、往復新幹線が付いた、京都石庭めぐりに便利な旅行プランが用意されている。本記事では、各プランを実際に体験した筆者が、その見どころを紹介する。

特別公開中の枯山水を見る

この季節ならではのイベントは、恒例の「京の冬の旅」非公開 文化財特別公開だ。東寺の五重塔など、通常は拝観できない15か所を公開している。

例えば妙心寺では、仏殿や、浴室「明智風呂」など、大河ドラマ『麒麟がくる』の主役、明智光秀に関連の公開がある。同じく法堂が公開される大徳寺では、手を叩くと龍が鳴いたように音が響くため「鳴き龍」と呼ばれる天井画『雲龍図』や、特別名勝の枯山水庭園を鑑賞できる。

そして、特別公開されている光照院(旧常盤御所)では、樹齢500年の五葉松が茂る枯山水庭園を観ることができる。

大徳寺で石庭の基礎知識を学ぶ

体験型プランは、京都を何度も訪れたことがあるリピーターこそ参加すべきだ。専門家による解説により、石庭を拝観しながら禅宗や造園についての理解が深まる。まずは禅の教えや石庭の見方を学べるツアーで下準備するのもおすすめだ。

大徳寺瑞峯院の庭園を設計した重森三玲の孫であり、作庭家である重森千靑(ちさを)がガイドする『重森先生と大徳寺の石庭めぐり』は石庭の知識が身につく。少し離れた距離でも、ガイディングレシーバーから解説を聞けるので、それぞれのペース、アングルで庭を鑑賞しながら、体感できる。

上記写真の手前に亀島、左奥に蓬莱山、右奥に鶴島を配した大徳寺龍源院の方丈前庭。2匹の鶴に見立てた鶴島は、見方によって、立っている鶴と座る鶴にも、羽ばたく鶴と立っている鶴にも見えてくるという。その庭が意図する構図や、禅問答を知ると石庭めぐりがより楽しくなってくる。

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石庭を味わう

妙心寺退蔵院では、1年中変わらぬ景観で「不変の美」を表現した「元信の庭」や、通常は非公開の隠れ茶室こと「囲の席」、左右で陰と陽の庭を表現した「陰陽の庭」など、異なるタイプや時代背景の庭が拝めるのが楽しい。坐禅体験と朝がゆがセットになったプランが用意されているので、心と体を整えてから鑑賞してみてほしい。

また、そのアクセスのし辛さゆえに格別の静けさが堪能できる曼珠院門跡では、「オリジナル石庭スイーツづくり」ができるユニークなプランも。一乗寺中谷の人気メニュー「絹ごし緑茶てぃらみす」の上に、箱庭のように小石に見立てた菓子を散らして、自由に石庭を表現するのだ。坐禅同様、無心で楽しむことができる。

※イメージ写真のため、イベント当日は箱の大きさ(石庭スイーツの面積)が若干異なる

1日限定プランでサクッと巡る

京都駅発着で効率よく見どころを巡れるバスツアーもおすすめだ。『京の庭を楽しむ非公開石庭めぐり』は、日本最大規模の龍華三会の庭のある天龍寺別格・臨川寺や、天龍寺塔頭・弘源寺の拝観料や御朱印代も含まれたプラン。僧侶の話を聞きながら拝観することができる。こちらは2020年3月15日開催の1日限定のツアーだ。

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石庭通になったら……

石庭の魅力にハマったら、京都市内にいくつかあるボードゲームカフェで枯山水のボードゲームをやってみるのもいいだろう。砂紋や苔のカードを並べ、石を美しく配置することで点数を競うゲームだ。ビギナーズラックもあるゲームだが、石庭の基本知識があるとさらに盛り上がる。その日に拝観した名庭が登場したらなお、楽しさもひとしおだ。

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京都、シークレットガイド
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目まぐるしい種類の寺院や宝物が存在し、一年を通じ観光客を惹(ひ)きつける古都京都。日本一の観光都市であるということは、紛れもない事実だ。 一方で、旅行客による混雑や、中心部の交通渋滞なども有名で、初めて訪れる人は、主要観光スポット以外を訪れる余裕があまりないことも多い。人とは違う京都旅をしてみたいという人に、タイムアウト東京が選ぶシークレットスポットを紹介しよう。

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