金糸や銀糸を使った華やかな石見神楽の衣装を手がける一軒。元サラリーマンだった佐渡村孝明が2008年にスタートした。
引き受ける仕事は、40〜50年前の衣装の修復から、新しいものの制作までさまざま。原画を描くところから刺しゅう、仕立てまで、全ての作業を店内で行っている。
修復は、持ち込まれた昔の衣装や幕と全く同じものを作るいわばコピーのような作業。色味や糸の重ね方、形など、全てを同じにしなければならないのだ。とても大変そうに思えるが、独学の佐渡村は「横のつながりがない衣装店にとって、頼りになるのは古い衣装。修復という作業自体が勉強になっている」と話す。
石見神楽の神楽面や蛇胴にも用いられる石州和紙は、実は衣装を製作する際にも活躍。龍(りゅう)や虎といった絵柄は、まず石州和紙に刺しゅうされ、それを型通りに切り取り、地の布に縫い付けている。また、昔は真綿を入れて立体感を出していた部分も、現在は石州和紙を入れることもあるそうだ。
5人以上で訪れる場合、1週間前に事前予約をすれば、工房内の見学や衣装の着用体験ができる。