写真:谷川慶典
写真:谷川慶典

東京で行くべきタトゥースタジオ

日本の刺青の歴史と東京のタトゥースタジオを紹介

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テキスト:Miho Kawasaki

刺青の歴史にまつわる5のこと

1. プライドの象徴である
江戸時代に東京は、度重なる大火事に悩まされていた。当時の統治者は、火事に対処するために、運動神経の良い者を火消しに任命。自らの命の危険を冒して町を守ろうという彼らの心意気は、町民たちの間で英雄視された。

2.刺青の大きさが火消しの能力の証明になる
刺青を入れるかどうかは各人の選択に任されていたが、仕事ができる人ほど刺青も素晴らしいのが通念であった。刺青を入れるには、痛みをこらえる強さが必要で、これが男気や勇気の印とされていたからだ。また、火消しにとって殉職はよくあることだったので、刺青は家族が身元確認をする際にも役立った。

3.浮世絵がインスピレーション
この時代には、浮世絵の大家である歌川国芳が絶大な人気を博しており、彼の挑戦的でウイットのある作品は庶民に熱烈に支持されていた。そのため、浮世絵はすぐに日本の刺青文化の基礎を築くようになる。

4.体で物語を紡ぐ
日本の刺青は、その大胆なデザインに特徴があり、体全体で一つの物語を表している。額彫りと呼ばれる手法で、手の込んだ背景を入れることもある。自然を表すのには波、雲、風、雷、岩などを使い、季節を表すのには動植物を使って、中心のモチーフに深さや劇的効果を与えている。

5. 古い伝統が生きている
西洋風の刺青は、第2次世界大戦後から若者に受け入れられてきた。日本の刺青文化は、江戸時代の自由奔放な火消しの刺青から進化し、今日では現代的な様々なデザインが受け入れられている。それでもなお、しっかりと伝統的な「手彫り」などの技術は継承されている。

タトゥースタジオを巡る

日本の刺青は伝統が根強く残っている一方で、新しいものを取り入れながら進化している。タイムアウト東京では、東京の代表的なスタジオ4軒を訪れた。どのようなタトゥーを入れるか以上に重要なのは、信頼できるアーティスト選びだろう。
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  • 目黒

自由が丘の静かな裏通りにある「異なる文化の融合」をテーマに掲げる刺青スタジオ。スタジオを運営するアーティストのロンは、頻繁に各地を旅しているため、刺龍堂には様々な国から客が訪れる。図案、大きさ、テーマなどを含めた、全過程についてしっかりとした話し合いを行う。また、翌日にデザインができ上がることもしばしばだ。店は少し分かりにくいので、辛抱強く探してほしい。

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  • 吉祥寺

吉祥寺にある広々としたタトゥースタジオ。作品の質とオリジナリティーを重視しており、4人のアーティストが在籍しているのが特徴だ。たいていのスタジオは、ほぼ1人のアーティストが経営しているため、予約が必要だが、同スタジオでは当日施術も可能だ。店主のあかつきにおすすめのモチーフを尋ねると、「標準的な龍や鯉が素敵ですが、最近は妖怪が人気です。神社や寺の彫像も、良いインスピレーションになるので、そこからモチーフを探してもいいですね」と教えてくれた。

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  • 横浜

アニメのキャラクターなどをモチーフにする刺青「ヲタトゥー」の先駆け店。Diablo Artの店主アキは公式に自分がオタクであることを認めており、スタジオにもキャラクターのフィギュアなどが飾られている。プロの彫り師であれば肌に図案を再生することができるが、特定のキャラクターの特徴を複雑な細部にわたって理解することは、アニメやマンガを熟知した人にしかできないだろう。アニメオタクを何人か顧客として持っているアキは、客が想像した通りに完成させるため、細部にわたり具体的にしっかり話し合っている。

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  • 池袋

池袋にあるタトゥースタジオ。店主の彫りみつは、初代彫俊に師事し、手彫り技術を用いた美しい作品を完成させる。ギタリストのジョン・メイヤーなども顧客の1人だ。彫りみつはをほぼ手彫りで行い、最も細い線のみ機械を使う。大作になると、何度かミーティングを重ねたうえで完成させる。時間はかかるが見事な出来栄えに納得できるだろう。

刺青の歴史を追う

  • ミュージアム
  • 横浜

3代目彫よしが40年にわたって蒐集してきた世界中の刺青文化、風俗、歴史に関する資料が豊富に揃う資料館。文身歴史資料館で学んだことをここで紹介しよう。

・「文身」とは、日本の歴史上最古の公式記録にある刺青の古い呼び名である。

・日本で発見された土偶は、紀元前にも原始的な形の刺青が存在したという事実の証明だ。

・「生きた浮世絵」と言われる刺青文化は江戸時代に生まれた。現在では、偏見の目で見られることも多い刺青。要因には、刺青を処罰の形で用いたことや、刺青禁止の法律、刺青と反社会的勢力の関わりが想定されること、孔子の倫理観の影響などがある。

文身歴史資料館では、このような偏見に立ち向かい、刺青の歴史を辿り、現代のグローバルな刺青までを光を当てて紹介している。刺青に興味があれば、ここで知識を深めてみてはいかがだろう。

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