ブリュッセルはエネルギー効率化において先進的な都市の一つ
ー日本では、SDGsが注目されるなど、持続可能な開発への関心が高まっています。ベルギーはサステナビリティに対してどのように取り組んでいるのでしょうか。また、日本の取り組みについてはどう思われますか。
ベルギーも日本も、SDGsにはとても熱心に取り組んでいると思います。気候変動やグリーンエネルギーは、両国のパートナーシップによって目標達成に貢献できる分野です。また、健康維持に向けた取り組みという点では、両国は全世界のワクチンへのアクセスを改善するコバックス(COVAX=COVID-19 Vaccine Global Access)の活動に実際に貢献しています。
また、ベルギーの当時の開発協力大臣(現首相)が民間企業の参加を促すために始めた「SDGsプラットフォーム」は着目すべき取り組みです。企業が目標達成のために署名する憲章を制定したもので、後に他国でも採用されました。
ほかにも、SDGsが発表された当初は「人々がSDGsを理解できないのでは」という懸念がありました。そこでベルギーの漫画家、ペヨの「スマーフ」キャラクターが、SDGsを推進するためのシンボルの一つとして使われました。
ー日本とベルギーが一緒にできることはたくさんあるのですね。
そうですね。気候変動の面では、日本は最近、カーボンフリー経済への取り組みを再確認しましたね。もちろん、私たちも脱炭素社会を目指していますから、これは喜ばしいことです。この分野では、ベルギーと日本が協力してできることがたくさんありますし、すでに多くのことが行われています。
まず、ベルギーは世界第4位の洋上風力エネルギー生産国ですが、その投資の一部は日本の協力を得て実現したものです。また水素に関しては、先日、日本で初めての水素を燃料とする旅客船の進水式に出席しました。これはベルギーと日本の企業による共同事業であり、この分野における多くのパートナーシップへの道を開いています。海運業はより環境に優しい技術の恩恵を確実に受けることができる分野であり、それは世界中の貿易に影響を与えるでしょう。
また、エネルギーの効率的な供給にも積極的です。ベルギーの企業で、日本の高圧線にセンサーを設置し始めた会社があります。この「インテリジェント」なセンサーによって、エネルギーをより効率的に供給することができるのです。
さらに、エネルギーの効率化についても日本とベルギーは協力できるでしょう。ブリュッセルは、エネルギー効率の高い建物を建設することにおいて、先進的な都市の一つです。古い建物がたくさんあり、改築の必要があるのですが、その際にブリュッセルは、エネルギー効率の高い建物に投資するという計画性のある方法を取りました。またゼロエミッションの建物だけでなく、そこに建物がないよりはあった方がいいという考えに基づきポジティブな印象を与える建物にも投資をしています。
周りを見渡してみると、東京では、次々と新しいビルが建っています。ですからこの分野でも両国はうまく協力していけると思います。環境に配慮したビルに投資することで、日本が目標としている脱炭素社会の実現に貢献できる可能性があるのです。