Time Out Love Local Awards
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Time Out Love Local Awards

東京のベストを決めるアワード、受賞店舗が決定

『Time Out Love Local Awards 2022』各店からの喜びの声も紹介

Mari Hiratsuka
テキスト:: Nozomi Takagi
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新型コロナウイルスの流行により、レストランやカフェ、ショップ、クラブなどが大きな打撃を受けてきた。『Time Out Love Local Awards』は、そのような状況にも関わらず、都市で生活する人のために努力を惜しまない店や地域で愛される店を讃えることを目的としたアワードで、東京では初めての開催となった。

世界ではロンドンやニューヨーク、バルセロナ、パリなど、5カ国12都市で実施。東京版は2022年1月からノミネートを行い225店の推薦から、タイムアウト東京編集部が各部門6店に絞り、読者による最終投票を行った。ここでは受賞店を発表する。

  • 墨田区

押上の住宅街にひっそりと佇む一軒家。入り口から緑に覆われた小道を進むと現れるのが、スパイス料理の名店、スパイスカフェだ。古い木造アパートを改装した内装はすべてD.I.Y.。2003年に世界48カ国を旅したというシェフの伊藤一城が、「日本ではまだ知られていない、スパイス料理の魅力を発信したい」という思いでオープンし、スパイスの魅力を伝えてきた。

オープン当初はある種の「入りずらさ」から知る人ぞ知る店として、主に近所の知り合いが訪れていたという。コロナ禍では、保育所などへカレーを無償でデリバリーするなど、ローカルに密着した活動を行ってきた。

ランチは、季節によって変わる5〜7種類のカレーを用意する。カレー1種1,150円、2種1,450円で、副菜4種、ライス、デザート、ドリンクが付く。ディナーは、完全予約制のおまかせコース(5,000円)のみ。絵画のように美しい一皿とスパイスを存分に堪能したい場合はディナーがおすすめだ。

2021年には姉妹店として、日本橋にモダンスリランカ料理店のホッパーズをオープン。2022年夏には、熱海にオーナーの伊藤が監修するレストランが誕生する予定だ。


「ローカルと聞いた時は下町(墨田区)のみと思っていたのですが、東京都全域土だということで大変驚きました。投票いただいたお客様に、感謝の気持ちでいっぱいです。レストラン部門1位に恥じないクオリティーを保ちながら、スパイスやカレーは自由で楽しいものということを引き続き発信していきたいと思います」

伊藤一城

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  • カフェバー
  • 新宿
  • 価格 1/4

700票に近い投票数を集めたのは、JR新宿駅東改札を出てすぐの駅ビル地下街にあるカフェ ベルク。1970年に純喫茶として創業し、1990年に代替わりでビア&カフェになってから30年以上の歴史を持つ。7〜23時年中無休で営業し、朝からビールやモーニングを楽しむ人でにぎわう。

コロナ禍で休業せざるを得なかった期間は、卸業者が破棄せざるを得なかった食材を活用した商品やメニューを販売するマルシェとして営業を続けていた。

店主のおすすめは、看板メニューの『ジャーマンブランチ』や、自然卵のゆで卵もしくは半熟卵付きの『モーニング』、パンにソーセージを挟んだシンプルな 『ベルクドッグ』。いずれも「素材を生かし、毎日食べても飽きない味を目指している」という。ギネスとエーデルピルスを合わせた『リアルハーフ』は、ギネスビールの品質管理最高責任者がベルクのために発案したオリジナルビール。料理と一緒に堪能したい。


「一時期は立ち退き騒動もありましたが、多くのお客様による応援をいただき、危機を免れました。だからこそ、お客様と一緒にベルクというお店を作ってきた感覚はあります。新宿らしさを意識したことはありませんが、どんな人も受け入れるこの街の空気は、ベルクに合っていると思います。

わかりづらい場所にありますが、それぞれの目的に合わせて利用ができるお店です。気軽に寄っていただき、今の時代にはなかなかない、このお店の雰囲気を味わってください」

ー井野朋也

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八丁堀で約5年間営業し、2022年2月に道玄坂へ移転したばかりのバー ハウルが、バー部門を受賞した。オーセンティックでもアンダーグラウンドでもない「ネオクラシック」な雰囲気が、20〜30代を中心に人気を博している。

このバーが愛される理由は、世界的なサウンドクリエイターのYosi Horikawaがハウルのためだけに設計施工した巨大ハンドメイドスピーカーと、それを十分に楽しむ空間設計にある。音の反響を制御しつつ、どの席に座っていても聴き心地のいい音になるよう調整されているのだ。毎週火〜土曜の夜から深夜にかけてDJタイムを設け、経験値の高いDJがその場の雰囲気に合わせて選曲する。

店主おすすめのドリンクは、浅草にあるトーキョーリバーサイド蒸留所の「飲む香水」と言われるクラフトジンを使用したジントニック。香り高いジンの良さを最大限引き出すようローズマリーを加えたジントニックは、リピーターの多いメニューだ。ほかにも季節ごとのカクテルやジャパニーズクラフトリキュールを多数そろえているので、音楽に合わせてお気に入りの一杯を見つけてほしい。

「実は、以前から渋谷に店をオープンしたいと思っていました。八丁堀にあった時以上にコンセプトと音楽性に統一感を持たせており、今後はより音楽の満足度を上げていきたいと考えています」

ー田川泰仁

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  • クラブ
  • 青山

1995年にオープンし、今年で27周年を迎える青山蜂。4階建てのビル一棟が丸々クラブで、それぞれカラーの異なるフロアがある。東京都内のいわゆる「小箱」のなかでも特にアンダーグラウンド色の強いヴェニューで、ヒップホップからハウス、ドラムンベース、ロックまで、さまざまな音楽ジャンルのイベントが開催される。

青山蜂ならではの魅力は、2階フロアで国道に面した大きな窓だろう。夕方になると西日が綺麗に差し込み、野外レイヴのような雰囲気になる。また毎週末の始発頃に開催される早朝イベント『ASA-HACHI』では、朝日を浴びながら踊る非日常的な体験を味わえる。開放感溢れる空間が、多くのクラバーたちに愛される場所だ。


投票いただいた皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。青山蜂は、東京の中でもいわゆるローカルが濃い場所であり、国内だけではなく世界から見ても珍しいクラブだと思います。かといって閉塞的ではなく、地方から訪れた人からは『地元のクラブっぽい』と言われることも少なくありません。

東京はほかの地域に比べ、膨大な数のクラブが集まっています。一晩でさまざまなベニューを回遊する遊び方が根付いているからこそ、蜂を訪れる人の目的は『目当てのDJを観る』『ナイトイベントのウォームアップ』『遊び足りなさを発散する』などバラバラ。東京以外から訪れた人にもそういった遊び方の多様性を体感してほしいです。これからも、あらゆる人々にとっての発着駅のような存在になれればと思います」

清水朗樹

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原宿のキャットストリートに店を構えるヘッシュドウグズがオープンしたのは2005年。サンフランシスコでスケーターとして8年間活動していた石井“CB”洋介が、『スケーターのためのセレクトショップ』として開いたのが始まりだ。

店内の一画にはスケートボードのデッキ(板)がぎっしりと並び、スケートカルチャーに文脈をもつブランドのアパレルや雑貨のほか、アートもたくさん並んでいる。店主曰く「一般的なスケボーの店よりも刺激とクセが強い店」。セレクションの基準は最新トレンドだけではなく、「スケートボードそのものへの愛を感じさせるブランドか否か」が深く関係しているという。

壁には、海外スケーターのサインやグラフィティも目立つ。それは国内だけではなく海外からも多くのプロスケーターが訪れ、グローバルに愛されるスポットであることが分かる。近年はオリンピックの影響もあり、家族連れがデッキを選ぶ姿も増えたという。


「みんなの応援で受賞できたのは本当にありがたい。しかもローカルアワードで選ばれたこともうれしいです。原宿は感度の高い人たちが集まる場所だから、ビジネスとしては世界的にも難易度が高い街です。でもここから自分のセレクトを発信できていることが、仕事のやりがいになっています。今後もスケートカルチャーを発信していきたい。

僕自身がサンフランシスコという街の影響を強く受けており、ヘッシュドウグズも街のもつカオスな側面を凝縮した店にしたいと思っています。スケートが好きな人だけではなく、その周辺のスケートカルチャーが好きな人にも楽しんでもらえたら嬉しいですね」

ー石井“CB”洋介

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  • Things to do
  • 高円寺

高円寺にある、地元住民の憩いの場となっている昔懐かしい老舗銭湯。2020年には、3階建ての新施設小杉湯となりがオープンし、2021年には登録有形文化財に登録された。これによって、店主の平松佑介は「銭湯や建物の文化を次世代に継承したい」という思いがさらに強くなったという。

銭湯を訪れる層は子どもから年配者までと幅広いが、6割は20〜30代と高円寺ならではの客層。「高円寺の街全体を家ととらえ、地域全体を住まいとして利用する」という感覚で、家のお風呂として銭湯を使う住民が多いようだ。

浴場の鮮やかなペンキ絵は、銭湯絵師の丸山清人によるもの。男湯と女湯それぞれの壁には、富士五湖の一つである西湖から眺めた富士山が描かれている。

自然素材を使ったミルク風呂や、日替わりの香り湯(ヨモギ、竹酢液、青森ヒバ、カモミール、ユズ、漢方薬草、ラベンダーなど)、湯船の種類は実に豊富。ほかにも、岩盤温泉やジェットバスなどが楽しめる。


「今回のアワードについて番台前に掲示したところ、お客様からの応援があり、その人達の顔が浮かびました。応募してくれた人たちにありがとうと伝えたいです。

お客様の暮らしの中にある銭湯。高円寺を家ととらえる感覚や目に見えない価値をコロナ禍でより求められるようになったと感じています。

湯上がりの帰り道で気持ちいい感覚、大きくないけど小さな幸せ。『ケの日のハレ』(小杉湯のオリジナルの造語で、ケの日は日常、ハレの日は非日常)のある暮らし、体験をこれからも作っていきたいです」

ー平松佑介

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