斬新だった「本の情報マガジン」
リクルートは1960年に大学新聞広告社として創業。『企業への紹介』『就職ジャーナル』などを発行し、求人を生業として立ち上がった。1984年に社名を株式会社リクルートに変更(現リクルートホールディングス)、『アービーロード』や『とらばーゆ』など、一貫して掲載情報そのものが広告である媒体を発行してきた。
そのため、出版物を多く発行してきているものの、同社はあくまで求人会社であって、出版社ではないと捉えている。一連の紙媒体は、掲載してもらう側が広告料を支払い、情報を発信するビジネスモデルで、媒体側が自らのコストで取材し、雑誌として購買を促すモデルとは一線を画すからだ。
そんな中、リクルートの発行物として最も雑誌としての体を成しているのが、『ダ・ヴィンチ』である。「まったく新しい本の情報マガジン」と銘打った本誌は、1994年5月号として創刊。書籍の広告掲載を目的とするのではなく、企画があり連載があり、コンテンツとして成り立っている一冊だ。そして、雑誌で書籍の紹介をするというコンセプトは、当時極めて新しく映った。『本の雑誌』とも異なる、この唯一とも言えるコンセプトが、現在でも発行され続けている理由の一つだろう。