『東京人』の背景
出版人として、雑誌の『The New Yorker』を知らぬ者はないだろう。アメリカで1925年2月21日に発行され、以降「クオリティ誌」として君臨。2018年6月現在も世界で125万部を発行している。
カートゥーン以外は写真も滅多に掲載されず、文章のみで読ませるジャーナリスティックな一冊は、なかなかセールスに結びつけることが難しい。
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日本で例えると文藝春秋(決して週刊文春ではない)を週刊化させ、朝日ジャーナルと足して2で割ると、少しイメージが湧くのではないだろうか。ジャーナリスティックな記事以外にヒット小説も数多く生み出しており、トルーマン・カポーティ、ウラジーミル・ナボコフ、J・D・サリンジャーなどの巨匠も名を連ね、最近では村上春樹もその執筆陣に名を連ねている。「こんな雑誌を作りたい」と夢見る編集者も多いはずだ。
そんな夢を東京で具現化しようとしたのが、今回取り上げる『東京人』だ。発行は、財団法人東京都文化振興会、発売は教育出版株式会社。発行人は、貫洞哲夫、編集人は粕谷一希。1986年1月1日発行の季刊となっている。