イメージできるから、失敗する
FUJIN TREE GROUPについて知っている人も多いかもしれないが、まずは彼らがどんな仕事をしているのか簡単に紹介したい。FUJIN TREEの仕事は、大きく3つある。1つ目は、カフェやレストラン、アパレルショップ、ギャラリーなど、10業種10店舗の経営。2つ目は、ウェブマガジン「haveAnice」、オンラインショッピングサイト「haveAnice…Shop」の運営と、『Culture & Art Book Fair』や『Culture & Coffee Festival』などのイベントの企画運営。3つ目は、日本や中国、欧米から来る企業の視察、アテンドの対応と、プロデュースの仕事だ。今回の話では、この3つ目の仕事がキーとなる。
2017年、FUJIN TREEが視察とアテンドの対応をした企業は301社。その先の仕事に繋がったのは66社だった。プロデュースの仕事は、2016年が6件だったのに対し、2017年は34件になったそうだ。ここで覚えておいてほしいのが、「プロモーション」ではなく、「プロデュース」であること。
というのも、FUJIN TREEとして、カフェやレストランなどを展開するときのプロモーションはどれも成功していたのに、それを日本の企業や自治体の「プロモーション」として実施するとなかなか台湾のユーザーには刺さらず、思ったほど上手くいかなかったのだという。小路は、この「上手くいかなかった」というところに、日本の企業や自治体が台湾展開する上でのヒントがあるのではと話した。
成功した例と、上手くいかなかった例では一体何が違ったのか。簡単に言ってしまうと、FUJIN TREEが全体をプロデュースしているか否かだ。たとえば、FUJIN TREEが日本食のレストランをやるとしよう。当たり前だが、全てを自分たちで判断して、決定し、店を作り上げていく。しかし広告会社やクライアントなど、日本の誰かのプロデュースが入ってくると、だんだん現地の人と噛み合わないところが出てきてしまうのだ。これに対して小路は、「台湾人目線で日本からプロデュースするのは、すごく難しいこと。僕は、多分世界中で一番難しいのではないかと思います。難しいと考える理由は、近いから。距離的にも近いので、2017年は450万人が台湾から日本に来ているんですよ。全人口が2300万人しかいないうちの450万人が来ちゃっているんです。それが毎年繰り返されたら、やはりほかのマーケットとはアプローチの仕方を絶対変えないといけないですよね」と語った。