サッカーやフットサルに挑戦してみたいが、未経験だから恥ずかしいーー。ゴルフを始めたいが、用具をそろえる金がないーー。
このどちらかに当てはまる人に勧めたいスポーツがある。フットゴルフだ。
サッカーとゴルフを足して2で割ったような競技で、世界各国で急速に普及している新興スポーツだ。東京都内にも練習施設が開業するなど、国内でも認知を得てきたフットゴルフの魅力を紹介する。
1. シンプルかつ奥深い
フットゴルフは、ざっくりいえばゴルフクラブの代わりに脚を使うゴルフ。ほとんどのルールはゴルフと変わらない。ゴルフボールではなくサッカーボールを蹴飛ばし、ホール(穴)にどれだけ少ない蹴り数で入れられるかを競う。ゴルフ場で行い、18ホールで合計スコアを競う(9ホールの場合も)。
サッカーボールは大きいので、グリーンやラフ、バンカーなどの地形によって難易度に差が出ることは少なそうだが、実はゴルフ同様、こうした地形は勝敗を大きく左右する重要な要素だ。
例えばラフのような深い芝では、いざ蹴ろうとすると、草に足が引っかかる。また助走をつけて蹴るため、ボールが斜面にあると非常にプレーしづらい。さらに、バンカーでの助走は禁止されていたり、足裏で蹴るのも認められないなど、シンプルでありながらなかなか奥深い。
2. 全世界で拡大中
まだ産声を上げたばかりの新興スポーツで、2009年にオランダでルールが確立され、競技化された。その3年後には国際フットゴルフ連盟が発足し、第1回ワールドカップがハンガリーで開催。2016年にはアルゼンチン、2018年にはモロッコで、それぞれワールドカップが開かれた。
各国のメディアで、急速に普及を続けるスポーツとして注目されており、現在、国際連盟には欧米を中心に約40カ国が加盟している。
日本でも競技人口は増えており、協会によると、2014年からのべ2万人強がフットゴルフをプレーしたという。
3. 必要なものは、襟付きシャツとスニーカーだけ
フットゴルフウェアブランド SHIELDS(シールズ)の商品
一番の魅力は、その「とっかかりやすさ」。ゴルフクラブをそろえようと思ったら、セットで5万円は見積もらなければいけないが、この競技にクラブは必要ない。
日本フットゴルフ協会理事の増山清は、「道具は必要なく、止まっているボールを蹴って転がすという、誰でもできる競技です。女性からお年寄り、子供まで性別や世代の垣根を超えて楽しめます」と特徴を語る。
用意が必要なものといえば、襟付きシャツと、スパイク以外のシューズくらいだ。暇を持て余した休日に、思い立ったらすぐできる。
4. 日本でも徐々に身近な存在に
現在、国内では関東や東海地方を中心に、13カ所のフットゴルフコース(外部リンク)が整備されている。料金はコースによって異なるが、だいたい平日18ホールの使用で大人2,000~3,000円台というのが相場。なかには1組1,000円で楽しめるコースもある。友人や同僚らと割り勘にすれば、驚くべき安さだ。
ゴルフ場まで足を延ばすのが面倒という人は、神保町に行ってみよう。神保町駅から徒歩1分の「神保町ゴルフスクール」で今年から「打ちっ放し」ならぬ「蹴りっ放し」の営業が始まった。ゴルフ場に行く前に、まずはここで競技についての感触をつかんでみるのもいいだろう。
5. 未経験者でも、日本代表として戦える可能性も
ワールドカップは、個人戦と、個人戦で上位に入った選手の所属国16カ国が決勝トーナメントで争う団体戦があり、日本はモロッコ大会の個人戦で約500人中20位に食い込んだほか、チームとしては16位に入った。アルゼンチン大会ではほとんどの選手が予選落ちし、最高でも80位前後だったことを考えれば、大きな躍進を遂げたといえる結果だ。
日本では2014年に協会が設立されたばかりということもあり、増山は「実力はまだ成熟していない」と認める。協会としては、将来のワールドカップで個人戦、チーム戦ともに優勝することが目標だ。
現在の日本代表は、必ずしも最初からフットゴルフの世界でプレーしてきた選手ばかりではない。新興競技ではよくあることだが、他競技からの転身組も多く、中には甲子園出場経験を持つ元球児もいる。
増山は、「『サッカー経験者イコール上手』ではありません。もちろん有利ではありますが、元Jリーガーのような選手でさえ、実力が抜きん出ているわけではないのです」と語る。
日本代表のさらなる強化のためにも、「学生時代にスポーツに打ち込んでいた人が、もう一度代表選手を目指すというのも夢じゃありません。強い志で世界と戦えるアスリートに、ぜひ競技に加わってほしい」と呼びかける。
6. 自然に囲まれながら健康的な休日を堪能できる
あなたはゴルフ場に行ったことがあるだろうか?いいえという人は、まずはフットゴルフをきっかけに一度行ってみてほしい。
都会の喧騒(けんそう)から切り離され、鳥のさえずりが聞こえる芝の上で体を動かすーー。一日過ごしてみれば、その魅力に気付くはずだ。
増山は、「ゴルフ場は、大自然に囲まれた気持ちのいい空間です。家族や友人、恋人と一緒に、まずは一度プレーしてみてください」と話している。