パブリックキャット 第26回

パブリックキャット 第26回

暮らしの道具店の看板猫:トト(4歳) 東京、国立のmusubiにて

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テキスト:Shiori Kotaki、写真:Kisa Toyoshima

靴下にタオル、器、箸など、生活が豊かになる良質な「暮らしの道具」を揃えるmusubi。国立という落ち着いたエリアに店を構える同店は、ゆったりと温かな空気が流れる居心地の良い店である。選び抜かれたセンスの良い商品はもちろんだが、訪れる客をさらに笑顔にさせるのがこの店で働くトトの存在だ。

トト(♂)4歳。好きな食べ物は焼きカツオ。先端が白いしっぽと、ピンクと黒が混ざった肉球がチャームポイント。ビビリな面もあるが親友に餌を分け与える人情深い性格。今年の夏はベランダで蝉を捕まえた

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タイムアウト東京編集部が店を訪ねたときには2階の自宅で休憩をとっていたトト。店の主人に声をかけると『にゃんかご』として特別に作られた愛用のすず竹製のかごに入ったまま店に出勤してきてくれた。突然のことに驚いたようで、ビー玉のようにくりくりとした目がより大きくなっている。

かごは下の部分が1段上がっているため通気性が良い

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出会ってまず驚いたのがトトの身体の大きさだ。写真で見ていたよりもはるかに大きく、迫力さえも感じられた。しかし、性格は若干怖がりな面もあるらしく車が通るときなどの大きな音が怖いようだ。また、突如テレビから流れてきたオペラにビクッとするなんてことも。大きな身体とは裏腹なそんなギャップも愛らしい。

 
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トトがこの店にやってきたのは彼が2ヶ月のころで、猫を保護している店主の友人が声をかけてくれたことがきっかけだった。幼いころは今よりもさらに臆病だったトト。家に来たばかりのときには、便器のメンテナンススペースに一晩中隠れてしまったこともあったそうだ。そして、このエピソードが彼の人生に大きく関係することになる。そう、名前だ。その隠れた便器のメーカーというのがTOTOであったことから、彼はトトと名付けられたのだ。トトという可愛らしい響きの名の裏にこんなエピソードが隠されていたとは......。トトには申し訳ない気もするが、このシュールさと秀逸さ、最高である。

店のなかで一番のお気に入りはここ
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「トト、カツオ食べるか?」という言葉に何度も反応していたトトの大好物はもちろんカツオ。「ご飯」、「可愛い」、「トト」、そして「カツオ」という言葉は理解しているほどだ。いつもとカツオが出てくる時間が違うことから「どうして今カツオが出てくるのだろう」と若干の不信感を持ってはいたものの、この日も出されたカツオを美味しそうに食べていた。また、オーストラリアからやってきたぬいぐるみのウォンバットとはベットで一緒に寝るほどの大親友。トトの餌や水が置かれているところにポロっとウォンバットが置かれていることも多々あり、彼がひっそりと親友に餌を分け与えている様子も伺える。なんて人情厚い奴なんだ、トト。

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(左)『ゴジラ』ならぬ『ニャジラ』ポーズ。このポーズをするといつも子どもが大喜びするそう。このポーズをこんなにクールな顔つきで......。看板猫のプロ根性を見ているようである

初代と2代目ウォンバットトトと遊び過ぎてすでにボロボロ。現在はなんと3代目ウォンバットまで登場している。写真は、左が3代目ウォンバットで右が初代ウォンバット
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トトが付けている首輪は革製のものであり、暮らしの道具店で働いているだけあって普段から身につけているものにも抜かりない。この首輪には、いざというときに外れるセーフティーバックルを用いているほか、経年変化で消えてしまわぬよう名前と電話番号が刻印できるため万が一迷子になったときも安心だ。そしてもちろん、同店で購入することも可能(名前、電話番号の刻印も対応してくれる)。さりげないところでも常に商品の宣伝をしているとは、さすができる男である。

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皆から身体を撫でられたり猫好きの来店客から土産を貰ったりと、すっかり愛されキャラのトト。ときには店の一角で寝ているなんてマイペースなところもあるが、これもご愛嬌だ。また、皆が外出して店に1匹になったときには、「寂しいよー!」と初めはアピールするものの、その後は窓からじっと外を見つめしっかりと店番をしている働きぶり。来店客が来たら店に降りて行ったり、喋ることが大好きだったりと、まさに接客向きな看板猫だ。最近は暑さのため2階で休憩をしていることも多かったが、これから涼しくなるにつれて店先に立つことも増えてくるはず。これからさらにパワーアップしていくであろう彼の接客ぶりに今後も期待したい。

店番スタイル

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名前:トト(♂)
勤務先:musubi くらしのどうぐの店
看板猫になるまでの経緯:猫を保護している店主の友人が声をかけてくれ、この家にやってきたことがきっかけ。暑い時期は2階で休憩していることが多いが、来店客が来ると店に降りてきて接客をする働き者。

—ある1日のスケジュール—
12時        2階でお昼寝
13時        出勤
13時30分  大好物の焼きカツオを食す
18時        退勤

  • ショッピング
  • 国立
musubi くらしのどうぐの店
musubi くらしのどうぐの店
国立という落ち着いた土地に佇む、日々の暮らしが豊かになるようなアイテムを販売するセレクトショップ。店内には、靴下や布巾、器、箸、洋服など、厳選された良質なアイテムが揃っている。看板猫として活躍するトトの存在もあってか、猫のブローチや、名前と電話番号を刻印できる猫の首輪などといった猫グッズも。また、雑誌『暮しの手帖』の大ファンとのことで、初期のころからの『暮しの手帖』が店内にずらりと並んでいるのも圧巻である。ゆったりとした居心地の良い雰囲気の店内はもちろん、外観もまるでジブリの世界に迷い込んだかのような可愛らしい佇まい。どこをとっても心がくすぐられる温かな店である。
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