2020年、京阪中之島線なにわ橋駅すぐの中之島公園内にオープンした文化施設。世界的に有名な建築家、安藤忠雄が市に寄贈したもので、設計も安藤が手がけた。絵本や児童文学などを中心に2万冊を超える書籍を収蔵している。
名誉館長を務めるのは、ノーベル賞を受賞した医学博士の山中伸弥。山中をはじめとする著名な研究者や芸術家が子どもの頃に読んでいた本などを紹介する「あの人の本棚」と名付けられた企画展示コーナーのほか、「自然とあそぼう」「大阪→日本→世界」などの独自のテーマで選書された書棚が並ぶ。蔵書の貸し出しは行っていないが、館内だけでなく中之島公園内であれば外に本を持ち出すことができ、川と緑に囲まれた気持ちの良いロケーションでも読書が楽しめる。
3フロア構造の館内は、吹き抜けの天井まで壁一面に書架がそびえ、細い渡り廊下や大階段などが設けられたドラマチックな空間に仕上がっている。一方、階段下をはじめ書棚の隙間など、随所に親密感のある小空間が用意されており、子どもたちにとっては物語に没頭するのにうってつけの隠れ家となるだろう。
1階にある天井から一筋の光が差し込む円筒状の空間は、実に安藤建築らしい。湾曲した壁をスクリーンにして、Rhizomatiks Designによる映像が映し出され、子どもたちを物語世界へと誘っている。