国内旅行で訪れるべき15の日本遺産

まだ多くの旅行者に発見されていない「物語」を知り、自分だけの冒険をする
Written by Time Out. In association with Agency for Cultural Affairs
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全国、47都道府県には、食・自然・歴史などそれぞれにまだ発見されていない宝石のようなストーリーが存在する。 文化庁による「日本遺産(Japan Heritage)」に登録された地域は、それらを発見・体験したい人にとってうってつけの場所だと言えるだろう。

日本遺産とは、地域の歴史的魅力や特色を通じて日本独自の文化・歴史・伝統を語るストーリーを紡ぐ地域や文化を集めたもので、地域の多様性を示す物語や伝統が結集している。

食欲をそそる料理の話から古代から続く伝承まで、豊富なストーリーを探索すれば、どんなに日本通な人でも満足できるだろう。ここでは、次回の旅で実際に体験できる場所やアクティビティをいくつか紹介しよう。

現在、104のストーリーが日本遺産に認定されているが、その中からいくつかをピックアップするので、ぜひあなたの冒険と探索の旅に役立ててみてほしい。

1. 忍者と侍の息吹に触れる。

ドラマシリーズ『SHOGUN 将軍』の次のシーズンが待ちきれない? そんな人は、リアルな侍と忍者の歴史をここで堪能してみよう。

忍びの里 伊賀・甲賀─リアル忍者を求めて─(三重県・滋賀県)

三重県伊賀市と滋賀県甲賀市は忍者発祥の地としてよく知られている。伊賀では「伊賀流忍者博物館」、甲賀では「甲賀の里 忍術村」を訪れ、歴史の陰で暗躍した隠密の忍者たちの歴史について学ぼう。

「信長公のおもてなし」が息づく戦国城下町・岐阜(岐阜県)

岐阜県を訪れるなら、16世紀に日本で最も影響力を持った武将の一人、織田信長の居城であった「岐阜城」は見逃せない。天下人が見た景色を眼下に収めたら、信長も愛したといわれる「長良川の鵜飼」を体験してみては。1300年の歴史を持つ伝統漁法だ。

金華山の登山で体を使った後は、腹ごしらえ。赤味噌でじっくり煮込んだ牛スジがたっぷり乗った地元名物「どて丼」を堪能しよう。

薩摩の武士が生きた町~武家屋敷群「麓」を歩く~(鹿児島県)

薩摩藩の「麓(ふもと)」という武家屋敷群を鹿児島市で発見してみよう。 かつては国内有数の要塞であった鹿児島城の跡地から旅を始め、そびえ立つ正門の復元に驚嘆する。

その後、激動の時代の面影を残す石垣と水路の間を細い道が蛇行する喜入旧麓を訪れてみては。 鹿児島市の「おはら祭り」や日置市の「妙円寺詣り」などのイベントに合わせて旅行の日程を調整するのもおすすめだ。

2. 自然との関係を見直す。

日本遺産には自然とのつながりが深い物語が40ほど登録されている。ここで紹介する場所は、信仰・共生の歴史・ありのままの雄大さといずれも日本的な自然との関わりを端的に示している。いずれもアウトドア好きにとって、バケットリストに加えるべき選択肢になるだろう。

自然と信仰が息づく『生まれかわりの旅』~樹齢300年を超える杉並木につつまれた2446段の石段から始まる出羽三山~(山形県)

出羽三山は、仏教・神道・道教を融合させた精神伝統である修験道における過去、現在、未来を象徴する3つの山である。 ここでは人里離れた山岳神社を訪れたり、伝統的な仏教の精進料理を味わったりすることができる。 体を動かすのが好きなら、4月から7月のシーズンに「月山スキー場」でスキーを楽しむのもおすすめである。

海女に出逢えるまち 鳥羽・志摩~素潜り漁に生きる女性たち~(三重県)

志摩半島にある鳥羽市と志摩市には日本最大の「海女コミュニティ」がある。海女の歴史は約2000年と長大だ。現在では日本と朝鮮半島を中心に貝類や海藻の持続可能な収穫方法を、未来に残そうと継承している。 

三重県に行ったなら、聖地「伊勢神宮」を訪れたり、60もある島々を巡ったりしてみては。伝統的な海女小屋で、採れたての海の幸を堪能するのも忘れずに。

日本海の風が生んだ絶景と秘境-幸せを呼ぶ霊獣・麒麟が舞う大地「因幡・但馬」(鳥取県・兵庫県)

日本海と中国山地に挟まれた鳥取県兵庫県の多様な景観は年間を通じて観光客に自然の遊び場を提供している。暖かい季節には、鳥取砂丘でラクダ乗りやサンドボードを楽しんだり、浦富海岸でシュノーケリング、カヤックを体験したりしてみては。

涼しい季節には、新温泉町の数ある温泉宿でリラックスしたり、兵庫県鉢伏山でスキーやスノーボードを満喫したりするのがおすすめ。また、厳しい日本海の風が吹き荒ぶ季節を乗り越えた感謝を表す「麒麟獅子舞」を鑑賞するのもいいだろう。

3. 伝統工芸は街ごと感じる。

何世紀も続く技術を実際に体験して、その魅力を発見する。

出雲國たたら風土記~鉄づくり千年が生んだ物語~(島根県)

中国山地の奥出雲地方では、約1400年の歴史を持つ日本古来の製鉄法「たたら製鉄」の炎が、今なお世界で唯一燃え続けている。「雲州忠善刃物」は明治時代から続く鍛冶職人の一門で、ここでは自分だけの包丁造り体験ができる。また、「奥出雲たたらと刀剣館」を訪れれば、刀匠による日本刀鍛錬を見学することも可能だ。

その後は菅谷たたら山内を訪れよう。この集落は、何世紀にもわたって鉄職人たちが暮らし、働いてきた場所であり、世界で唯一たたらの高殿が現存している。近くの鐵泉堂では玉鋼を使った鉄製品などを購入できる。

宮大工の鑿一丁から生まれた木彫刻美術館・井波(富山県)

250年にわたり、この地の職人たちは「木彫りの町 井波」の保存に努めてきた。 滞在中にはこの町の象徴である「井波別院瑞泉寺」を参拝し、地元の木彫り工房からカンカンと響くノミの音や木の香りを楽しみながら八日町通りを散策しよう。 南砺市では毎春、伝統的な祭りが開催される。

『珠玉と歩む物語』小松~時の流れの中で磨き上げた石の文化~(石川県)

小松市は、古くから石材、陶磁器、宝石の産地として知られており、その歴史はなんと弥生時代から続いている。明治期に欧米で「ジャパンクタニ」と称賛された九谷焼の原料である陶石もまた、江戸後期に花坂地区で発見されたものだ。創作意欲が湧いたら「九谷セラミック・ラボラトリー」や地元の陶芸スタジオで九谷焼の絵付けに挑戦してみよう。 

または、石造建築と装飾が主役の「那谷寺」と「庫裏庭園」や、北陸最古の温泉である「粟津温泉」を探索してみるのもいいだろう。 音楽体験を通じて地元の歴史に触れたいなら、三味線などの伝統芸能を体験することをおすすめしたい。

4. 和食のルーツを巡る。

日本が食通に愛される国である理由を実感する旅に出よう。独自の食文化を培ってきた土地を実際に巡り、その土地ならではの食材を味わうことで、知識だけでは得られない真の発見をする。

海と都をつなぐ若狭の往来文化遺産群~御食国(みけつくに)若狭と鯖街道~(福井県)

日本海の若狭湾のほとりに位置する港町・若狭と小浜は長い間、京都の有名な食文化を支えてきた。昼間は小浜西組の歴史地区や熊川宿の宿場町を散策し、1500年の歴史を持つ「鯖街道」を体感してみては。夜は「へしこ」(漬け魚)、「さばずし」(発酵寿司)、鯉(コイ)の刺し身など、地元の珍味を楽しもう。

森林鉄道から日本一のゆずロードへ─ゆずが香り彩る南国土佐・中芸地域の景観と食文化─(高知県)

かつては日本有数のスギ産地で、長大な森林鉄道が走っていた中芸地域は、今では全国トップクラスの柚子(ゆず)の生産地である。

「魚梁瀬丸山公園」で森林鉄道の乗車や運転を楽しんだ後は、千本山のスギ天然林をハイキングしよう。小腹が空いたら、柚酢(柚子果汁)を使った酢飯にタケノコやシイタケ、ミョウガを乗せた「いなか寿司」など、地元の味覚を堪能してほしい。

「伊丹諸白」と「灘の生一本」下り酒が生んだ銘醸地、伊丹と灘五郷(兵庫県)

日本酒愛好家にとって伊丹と灘は、「憧れの地」と言っても過言ではない。まずは伊丹で日本最古の酒蔵である旧岡田家住宅・酒蔵を見学し、この町が清酒発祥の地となった経緯を学ぼう。

灘では、5つの地域からなる灘五郷を訪れ、「灘の生一本」の日本酒を試飲するのを忘れずに。この酒が、全国の日本酒市場の4分の1近くを占めている理由を自らの舌で感じてみてほしい。

5. 民話を深掘る。

日本を代表する物語の裏に隠された人々や場所を知る。

鬼が仏になった里「くにさき」(大分県)

鬼は一般的に恐ろしい存在だと考えられているが、何世紀にもわたって、国東半島の人々は異なる考えを持ってきた。 「長岩屋」の峰々や「大不動岩屋」で、良い鬼を探してみよう。 昼食には地元のそばと「姫だこ」を味わうのがおすすめだ。 

毎年、六郷満山の寺院で旧正月に行われる火祭り「修正鬼会」に参加して鬼に出会うことは、ここでしかできない貴重な体験。家内安全、五穀豊穣、無病息災を祈願する行事を終えたら、鬼は集落の家を周り、家主は、中に招き入れて、共に笑い、踊り、酒を酌み交わす。鬼に火の粉をかけてもらい、友のように語らおう。

「桃太郎伝説」の生まれたまち おかやま~古代吉備の遺産が誘(いざな)う鬼退治の物語~(岡山県)

岡山県は自然、文化、歴史が独自に融合した地域であり、昔話・桃太郎のインスピレーションとなったと言われている。伝説の舞台に赴きたいなら、「鬼城山」と「吉備津神社」を訪れるといいだろう。自然を満喫したいなら、「岡山後楽園」や鷲羽山、豪渓、秋から春の時期なら、早朝に雲海が広がる「備中松山城」がおすすめだ。

神々や鬼たちが躍動する神話の世界~石見地域で伝承される神楽~(島根県)

島根県の石見地方といえば、とりわけ熱狂的な伝統芸能である「石見神楽」が知られている。活気あふれる太鼓囃子、火花やスモークなど多彩な演出は華やかで、見るものを力強く神話の世界に誘う。

この歴史と伝統に裏打ちされた豪華な舞を見るのはもちろん、背景にある神話や物語について学ぶことで、より深く体感してみてほしい。

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