神楽坂の石畳の小路に佇む老舗銭湯。創業は1954年で、千鳥破風のある伝統的な宮造り様式を今に残している。燃料を重油や都市ガスに切り替える銭湯が大半を占める中、薪を使い続けている点でも貴重な存在と言える。歴史を感じさせるレトロな趣きの脱衣所は、使い込まれた設備のひとつひとつが丁寧に手入れされており、鯉や金魚の泳ぐ中庭の池や格子天井も味わい深い。
開放感のある浴室の正面には、絵師の中島盛夫による富士のペンキ絵が描かれている。松島から望む富士山の絵は男湯と女湯を跨ぐかたちで描かれており、湯船から眺めれば雄大な気持ちを味わえる。池と同じく鯉や金魚をちりばめたタイル絵も必見だ。
関連記事
『東京、銭湯富士10選』