迷路のように入り組んだ路地の一角にある山の湯温泉は、古き良き木造の銭湯。設備の隅々までが丁寧に手入れされており、1960年の創業から変わらぬ姿を保っている。
山の湯温泉の湯船は男湯、女湯ともにひょうたん型で、かつ壁際ではなく中央にあるという珍しい構造。湯の吹き出し口が女神像やふくろうの像になっているところもユニークだ。
2014年10月に塗り替えられた真新しいペンキ絵は絵師の丸山清人によるもの。胸のすく凛々しい姿の富士山とともに眺めたいのは、浴室を囲むタイル絵。創業当時に制作されたというヨーロッパ風ののどかな風景画は、サウナルームの中まで続いている。
柱時計が時を刻む脱衣所で目を引く山の湯温泉オリジナルのポスター。こちらはイラストレーターの常連客が制作してくれたものだという。清掃はもちろん、漫画雑誌類や入浴グッズの品ぞろえまで、銭湯の至る所に見られる細やかな気配りが、地元住民に深く愛されている所以だろう。
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