本質は「ライフスタイルの多様性」
ーこれまで日本におけるナイトタイムエコノミーは、インバウンド需要と観光の文脈からその重要性がアピールされることが多かったです。コロナ禍によってインバウンドそのものが大きく落ち込んでしまいました。
近年、インバウンド観光の伸びが著しく、観光庁が政策テーマに掲げる観光消費拡大とナイトタイムエコノミー政策の利害が一致し、観光庁を中心に政策実施していくことなりましたが、必ずしもナイトタイムエコノミー=インバンド観光施策というわけではありません。
ナイトタイムエコノミーは、もともとクラブカルチャーやダンスカルチャーのネックになっていた風営法改正に端を発し、その後、ロンドンやニューヨークなどの例を参考に「ライフスタイルの多様性」という観点から論じられてきました。
ナイトタイムエコノミーに関する政策提言をしてきた「自民党時間市場創出議員連盟(通称:ナイトタイムエコノミー議連)」でも、ライフスタイルの多様性を基本コンセプトとする「24Hour City構想」といった提言も含まれています。
夜間帯は観光を中心とした経済的価値とともに、さまざまな文化が生まれ育っていく場としての文化的土壌としての文化的価値も併せ持ちます。将来的にインバウンド観光客が戻ってこられる環境になったとしても、魅力ある日本文化が衰退してしまっているという状況は避けなければなりません。
このような観点から、コロナ禍におけるナイトタイムエコノミーを考える際、ミュージックヴェニューやシアターなどの文化施設、そしてそこを表現の場とするアーティストやエンジニアなどの各種スタッフをどう守っていくのかという点がより重要性を増していくと思います。