Japanese iron teapot
Photo: Mizina/Pixta
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大切な人に贈りたい日本の伝統工芸品8選

一年の感謝の気持ちを込めて、職人の手仕事をプレゼントに

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2020年も終盤を迎え、もうすぐクリスマス。今年学んだことの一つを挙げるとすれば、それは日常生活の中に小さな喜びを見いだすことの大切さだろう。自宅で過ごす時間が増え、ホームプロダクト選びにこれまで以上に金や時間をかけた、という人も多いはずだ。もし、今年のクリスマスギフトで悩んでいるのなら、毎日の生活の中で使える良質な品をセレクトするべきだろう。

日本が誇る文化の一つに、何百年、何千年もの歴史を持つ手作りの工芸品がある。全国で古くから受け継がれる伝統工芸の種類は多彩で、毎日使える日用品も多い。緻密な手仕事を施す職人技術は長年磨かれ、何世代にもわたって受け継がれてきたものだ。

ここでは、台所用品や陶器、衣類や布地などプレゼントにぴったりな伝統工芸品を紹介する。これらのアイテムはオンラインでも販売されているので自宅にいながら職人たちを応援することも可能だ。

和包丁(大阪・堺市)

優雅で切れ味の良い日本包丁は「キッチンの刀」のようなものだ。大阪の堺市には、数百年前から続く刀製造の伝統があり、かつては大名や武士のために刀を作っていたことで知られる。

境包丁はほかの和包丁と同様に、片面だけに面取りが施されているのが特徴。一本が誕生するのには数人の職人の手仕事が必要で、まず鋼を加熱し何度も火入れをして打ち延ばしながら原型が作られる。次に、研ぎ職人がゆがみがなく滑らかでカミソリのような切れ味の包丁を仕上げていく。最後に鋭く研ぎ上げられた包丁に垂直に柄が付けられ、ようやく完成するのだ。

出来上がった包丁は極上の切れ味を誇り、生魚や和食に使われる繊細な食材をさばくのに完璧な一本となる。このような高級包丁は定期的なメンテナンスを行うことで一生ものとなっていくので、多少値が張っても手に入れる価値があると言えるだろう。

興味がある人は、堺市で創業150年の和田商店山脇刃物製作所和泉利器製作所の包丁をチェックしてみよう。堺の包丁は東京でも購入が可能なので、刃物を扱う専門店や市場をのぞいて見るのもいい。 

南部鉄器(岩手)

鋳鉄製の調理器具はその頑丈な構造と上品な仕上がり、そして料理や飲み物の味を引き立ててくれることから、日本の家庭には欠かせない存在だ。その中でも岩手の南部鉄器は有名で、1902(明治35)年の創業以来伝統の技を守り続けている。

南部鉄器はもともと盛岡市と奥州市で誕生し、その歴史は17世紀初めまで遡る。南部藩主が京都から優秀な職人を集めて茶釜を作らせたのが始まりとされており、素材には銑鉄を使用。鉄器はさびにくく湯の熱を均一に保つことができ、洗練された外観と耐久性に優れている。それ以来、日本だけでなくヨーロッパにも浸透し、世界中で多くの人々に愛用されるようになった。

南部鉄器で淹れる茶は、柔らかくてまろやかな味わいが特徴。丸みがある黒い急須は南部鉄器の伝統的なデザインだが、最近ではコーティング技術によりカラフルで現代的なデザインの製品も登場している。写真の岩鋳の急須は特に有名。そのほか及富及春鋳造所などのブランドにも注目してみてほしい。

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木曽漆器(長野)

漆器は、ウルシの樹液に天然の着色料を加えて表面を塗った工芸品だ。水や細菌、酸にも強く、滑らかで上品な仕上がりが特徴。漆器の色は通常深みのある黒や鮮やかな朱色が多いが、模様を施したものや木目が浮かんだデザインのものなどがある。

長野の木曽町は木曽漆器の名産地。漆器の材料となるヒノキの木が豊かに育つこの地では、古くから漆器が作られており、江戸時代には江戸から京都へ向かう旅人の土産物として買い求められるようになった。それが庶民に愛され全国に広がったことから、木曽漆器の産業が発展したのだという。

漆器は一般的には安くないが、手入れをして使えば劣化することなく100年以上は持つといわれている。シンプルかつエレガントな品を手に入れたければ、古典的な漆器から日用漆器までをそろえる山加荻村漆器店がおすすめ

そのほか、伝統的な技法を取り入れた漆器ブランドのKOKU、漆とガラスの特性を融合させた「漆硝子」で知られる百色など、漆工芸の伝統を受け継ぐさまざまな漆器があるのでチェックしてみよう。

備前焼(岡山・備前市 )

陶磁器とは、陶器や磁器などの焼き物の総称のこと。日本の陶磁器はその土地の土や技術によって個性が大きく異なり、日本の伝統工芸品に指定されているものも多い。

岡山県の備前市で作られている備前焼は、赤や茶、銅など色調の焼き物。鉄分を多く含む粘土を使い、素朴で土っぽい質感を特徴だ。備前焼は釉薬(ゆうやく)を一切使用せず高温で焼かれ土の性質や窯の中の状態により、焼くたびにさまざまな模様が出る。

同じ形や色のものが出来上がることはないため、備前焼の全てが一点ものなのも魅力の一つ。備前市は日本でも有数の陶磁器の産地で、その歴史は少なくとも14世紀まで遡る。今でも多くの陶芸家が備前の土を使って焼き物を制作しており、花器や食器、サステナブルなフラスコなど、作品によって異なる個性を見せてくれる。

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今治タオル(愛媛・今治市)

愛媛は古くから綿花の生産地としての歴史を持つ地だ。特に今治市は国内最大のタオル生産地として知られ、現在でも今治市内には約200軒のタオル工場がある。明治時代に地元の繊維事業家によって発展した産業で、今治のタオルは軟水を利用する事で柔らかく仕上がっており、使い心地も抜群。

さらに、正式な今治タオルとして名乗りを上げるには独自の審査基準をクリアしなければならず、吸水性や柔らかさ、通気性などがチェックされている。タオルだけにとどまらず、スカーフやガウンなどの衣料品、タオルケットなどのベッド用品、そして最近ではフェイスマスクの生地としても使用されており、バラエティー豊かだ。

今治タオルブランドの品質基準を満たした一級品のタオルを探しているのなら、杉野綿業村上パイル大成タオルなどのブランドがおすすめ。全国の百貨店やオンラインでも購入可能なので、お気に入りを見つけてほしい。

絞り染め(京都)

日本の染色工芸の歴史は深く、日本特有の「おしゃれ」文化の一つとして多分野に浸透してきた。その中でも絞りの技法で染められた着物は格式が高く珍重されており、高級品として認識されているほど。

染物と聞くと、輪ゴムなどを使って染めたタイダイTシャツが連想されるが、日本の伝統の絞り染めはビーズや専門器具を使って細かく編み込むなど入念な技術と手順を経ており、膨大な時間を必要とする。その結果、複雑かつ繊細な模様が仕上がるのだ。

特に京都は「鹿の子絞り」を代表とする伝統の絞り染め文化で有名な地。かつては高級衣類に施されてきた絞り技術だが、最近ではちょっとしたファッションアイテムや、カーテンなどのインテリアにもなっており、一般人でも手が届きやすい。

京都には、ユニークかつ伝統的な絞り製品を生み出す片山文三郎商店や、伝統工芸士によるオリジナル作品を作る絞彩苑種田など、職人の店が軒を連ねている。

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児島のデニム(岡山・倉敷市)

デニムの故郷はフランスかもしれないが、岡山県の児島は日本のデニムの発祥地として知られている。1600年代初頭から綿織物や藍染めが盛んだった岡山。その後足袋や真田紐のような厚手の品の生産を開始し、のちに学生服の生産地として台頭する。

こうしたノウハウをいかして、1960年代には国産デニムジーンズの第1号が誕生。現在、この町には数千人のデニム職人がひしめいており、世界最高品質とされるジャパニーズジーンズが日々作り出されている。

岡山デニムで有名なのは、桃太郎ジーンズや、ジャパンブルーSETTOシンデニムなどのブランド。どの職人も、高品質のセルビッチデニムを生産していることが特徴だ。セルビッチデニムは職人が何度もチェックをしながら織り上げる手法で、通常よりも作り上げるのに時間がかかることから高級デニムとも呼ばれている。

こだわりは手法だけにとどまらない。この地で作られるデニム生地の多くは、糸の段階から日本の伝統文化である藍染めの植物染料で染められている。その濃紺の色合いから「ジャパンブルー」と呼ばれ、海外のファンも多い。

児島を訪れたなら、ジーンズストリートというエリアに足を運んでみよう。街の至る所にジーンズが旗のようにつるされており、デニムショップ巡りが楽しめる。

越前和紙(福井・越前市)

日本の和紙はその耐久性と繊細な美しさで知られ、ユネスコの無形文化遺産にも認定されている。用途も多彩で、浮世絵や折り紙、ラッピングペーパー、障子や襖、インテリアなどさまざまなシーンで利用されている伝統工芸品だ。

福井県の越前和紙は1500年の歴史を持ち、現在も67の工場がある日本ーの製紙地帯といわれている。越前和紙は、滑らかな仕上がりであったりザラザラとした分厚い質感のものまで個性も豊か。

白やクリーム色などの無地、鮮やかな色柄のものまで、好みや用途に合わせた多彩な和紙が製造されている。オーガニックでありながら洗練された越前和紙は、時代を越えてもいつまでも愛される工芸品の一つだ。

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