和包丁(大阪・堺市)
優雅で切れ味の良い日本包丁は「キッチンの刀」のようなものだ。大阪の堺市には、数百年前から続く刀製造の伝統があり、かつては大名や武士のために刀を作っていたことで知られる。
境包丁はほかの和包丁と同様に、片面だけに面取りが施されているのが特徴。一本が誕生するのには数人の職人の手仕事が必要で、まず鋼を加熱し何度も火入れをして打ち延ばしながら原型が作られる。次に、研ぎ職人がゆがみがなく滑らかでカミソリのような切れ味の包丁を仕上げていく。最後に鋭く研ぎ上げられた包丁に垂直に柄が付けられ、ようやく完成するのだ。
出来上がった包丁は極上の切れ味を誇り、生魚や和食に使われる繊細な食材をさばくのに完璧な一本となる。このような高級包丁は定期的なメンテナンスを行うことで一生ものとなっていくので、多少値が張っても手に入れる価値があると言えるだろう。
興味がある人は、堺市で創業150年の和田商店や山脇刃物製作所、和泉利器製作所の包丁をチェックしてみよう。堺の包丁は東京でも購入が可能なので、刃物を扱う専門店や市場をのぞいて見るのもいい。