行政とナイトライフを繋ぐ存在
ナイトメイヤーは、2002年にアムステルダムで発足した「夜の市長」として活動するボランティアである。アムステルダム市長公認の団体で、2015年には5人目 の「夜の市長」としてMirik Milanが選出された。ナイトカルチャーは社会、文化、経済のどの側面から見ても、街をより活性化させる大きなファクターだとして、ナイトライフに関わる人々と行政との間に入ってコミュニケーションを取り、クラブ運営における規制やルールを市長にアドバイスするなどの活動を行っている。クラブカルチャーの最先端を行くベルリンでは2001年、政治家と対話するために「Club Commission」が誕生したが、それから約10年かけて、ベルリンにおいてクラブが非常に重要な存在であるという意識付けを行ってきた。一方、世界の音楽シーンを牽引してきたロンドンでは、ここ10年、ミュージックヴェニューの数が半減しており、都市開発や高騰する地価や物価、それに議会の強硬な姿勢などにより、ロンドンのPlastic People、グラスゴーのThe Archesをはじめとした数多くのヴェニューがクローズに追いやられた。そんな中、ナイトライフ業界の声を届ける存在になろうと「NIGHT TIME INDUSTRIES ASSOCIATION(NTIA)」が2015年に設立され、現在、ナイトメイヤーに近い役割の「nighttime champion」という役職が提案されている最中だ。
サミットの参加者であるアントワープ市の職員に話を聞いたところ、彼女の仕事は「イベントをやりたいという若者と話し、ノウハウや経済的な相談に乗る」ことだった。行政側にそうした姿勢があること自体が驚くべき話だが、政府や行政とナイトライフを繋ぐ存在は、どの都市でも重要視されてきているのだ。