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渋谷のアツコバルーarts drinks talkにて、都築響一による「エロ」をテーマとした『神は局部に宿る 都築響一 presents エロトピア・ジャパン展』がスタート。同展は「秘宝館」「ラブホテル」「イメージクラブ」「ラブドール」など、都築が日本全国を巡って出会った日本独自の「エロクリエイティブ」を集結させた展示だ。
都築は、雑誌『POPEYE』、『BRUTUS』にて現代美術、建築、デザイン、都市生活などの編集を経て、東京で生活をする若者たちのリアルな部屋を撮影した『TOKYO STYLE』や、日本各地の奇妙な名所を探し歩いた『ROADSIDE JAPAN 珍日本紀行』を刊行するなどし、既存メディアが紹介しない視点から現代社会を切り取ってきた。
会場に入ると、伊勢の「元祖国際秘宝館」のオブジェが出迎えてくれる。同館は、日本で最初にできた秘宝館。オーナーの松野は、開館にあたって様々な人物に意見を求めたが全員に反対され、かえって成功を確信し開館に踏み切ったという破天荒な人物。その予想通り、秘宝館は爆発的ヒットとなり全国的に拡大していった。同館は惜しくも2007年に閉館してしまい、各地に広がった秘宝館も今では「熱海秘宝館」を残すのみである。
ここでは、「性は生なり」でおおらかに楽しく謳歌すべきという松野の信念の一部が見れる。
その先には、当時はインターネット上に情報もなく、都築が自身の足で探して発見したという数々の趣向を凝らしたラブホテルの部屋の写真が並ぶ。オーナーたちはホテルの内装に対して思い入れが強く、意外にも取材時は快く写真を撮らせてくれたそうだ。回転ベッド、ウォータースライダー、屋形船、宇宙など奇想天外で愉快なアイデアに溢れた部屋の数々は眺めているだけでワクワクする。
そのほかにも、「観客が1人もいない場所で行われている演劇である」と都築が語る、よりすぐりの舞台(イメクラ)の写真、最も精巧なラブドールの製造販売元であるオリエント工業が近年開発した家具とドールを融合させた作品や、自由に触れることができるラブドール『望月カオル』などが展示されている。
日本に氾濫する性的イメージについて都築は、「美術館を飾るアーティストの作品よりもクリエイティビティの純度を感じさせる。本来の目的とは異なるベクトルに突き進んだ結果として生まれた、日本独自のクリエイティブが発揮されていて、そこには笑いがある」と語っていた。
卑猥なはずのものを明るく独自の視線で見れるのは日本人の性質なのかもしれない。本展の会期は2016年7月31日(日)まで。日本の失われゆく、痛快な「エロ」の数々を眺めてほしい。
『神は局部に宿る 都築響一 presents エロトピア・ジャパン展』の詳しい情報はこちら
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