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期間限定クラブ「ゼロサイト タカナワゲートウェイ」オープニングレポート

クラブカルチャーの入り口へ、4カ月だけの「ハイサステナブル」な桃源郷

テキスト
Kosuke Hori
Editorial Assistant
ゼロサイト タカナワゲートウェイ
Photo: Kisa Toyoshima | 「ゼロサイト タカナワゲートウェイ」のエントランス
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2025年3月27日に、JR山手線の高輪ゲートウェイ駅直結の大規模施設「高輪ゲートウェイシティ(TAKANAWA GATEWAY CITY)」が開業。記念すべき「まちびらき」の初日、南改札を出て徒歩約2分ほどの場所に、クラブ「ゼロサイト タカナワゲートウェイ(ZERO-SITE Takanawa Gateway)」が4カ月限定で、JR東日本の提供でオープンした。

オープン初日は、12時から23時までを営業時間とした、エントランスフリーのプレオープンパーティー。世代を超えた人々が興味深そうに続々と入店し、思い思いにくつろいでいるのが印象的だった。

ゼロサイト 高輪ゲートウェイ
Photo: Kisa Toyoshima

アップサイクル素材をさりげなく使用したサステナブルな店内

「ラウンジフロア」は、期間限定の営業とは思えないほど洗練された空間が広がる。一つ一つ形の違う照明は特注で、豆のような形をした区画からの影響で、「ビーン型」にデザインしたという。オレンジ色の暖かい光は、パーティー時には朱色のソファに併せて妖艶な色合いに変化するとのことだ。

各ソファの前に置かれたテーブルや入り口付近の大型の什器(じゅうき)の天板には、洋服を粉砕し、圧縮したアップサイクル素材が使用されている。これらの家具類は全て、この場所での営業を終えた後も廃棄されることなく家具のレンタル業者の手に渡り、どこか違う場所でその役目を果たしていくという。加えて、マーブル模様のような床材には、マヨネーズを作る際に出る卵の殻が使用されている。

ゼロサイト タカナワゲートウェイ
Photo: Kisa Toyoshimaラウンジフロア

エシカルなドリンクとバーフード

エントランスを入ってすぐの場所には、滑らかな曲線の設えが印象的な大型のメインバーを設置。4種類のシグネチャーカクテルは、日本が誇るトップバーである渋谷「ザ・エスジー・クラブ(The SG Club)」などを手がけるSGグループが監修したという。ネーミングも「若気の至り」「あっという間」「一筆書き」「モノクローム」(各1,500円、以下全て税込み)と印象的だ。

木戸泉酒造が製造する日本酒「アフス」とピーチのリキュールを合わせた「一筆書き」は、まるで焼きたてのミルクパンのような、ふんわりと甘い香りがどこか懐かしい。だが、一口含むと甘過ぎることなく、スッキリとした切れ味ある味わいがあと引くおいしさだった。また、珪藻土(けいそうど)のような手触りのデザイン性に富んだコースターは、洋服をアップサイクルした素材でできている。

そのほか、ノンアルコールのメニューも充実。ノンアルコールジンを使用したカクテルに加えて、ワインのように楽しめるノンアルコールドリンク「NON」などがラインアップする。酒があまり得意ではない人にも、あえて飲まない人にも選択肢がたくさんあるのがうれしい。

バーフードは、基本的にプラントベースのものを提供。言われなければ気づかないような仕上がりになっているという。

また、フードメニューの下部には、全国の子ども食堂を支援しているNPO法人むすびえを通じて5食分が寄付されるシステム「フューチャーミール」(1,000円)」が記載されていた。「クラブで会った友人に1杯ごちそうする」という感覚で子どもたちの食事へつながるのも、なんとも粋である。

ゼロサイト タカナワゲートウェイ
Photo: Kisa Toyoshimaシグネチャーカクテル「一筆書き」

店内を彩るアートと日本初上陸のサウンドシステム

ラウンジフロアを奥に進むと、白い円柱がウィンチで動くキネティックライト「MONOS」が展示されている。平日は17〜23時の営業時間で、「ナイトミュージアムバー」として入場無料でアートをドリンク片手に楽しめる。気になる人は、アート目当てに立ち寄るのもいいだろう。

ゼロサイト タカナワゲートウェイ
Photo: Kisa Toyoshimaキネティックライト「MONOS」

3階のメインフロアへ上がると、全長27メートルものLEDビジョンを使用したアート作品「Time」の幻想的な光に包まれる。日本初登場のサウンドシステム「Danley Sound Labs」からはアンビエントが流れていて、吸い込まれるように変化する光を眺めてしまった。

ゼロサイト タカナワゲートウェイ
Photo: Kisa ToyoshimaLEDビジョンを使用した作品「Time」

プレオープンパーティーはラウンジフロアのみの開催予定だったので、「Danley Sound Labs」のフルパワーを体感することはかなわないのかと思っていると、サウンドチェックに立ち会うことができた。まず驚くのがその音圧の高さ。そして天井がそこまで高い空間ではないにもかかわらず、音が回ることもなく、隣の人と大声を出さずとも会話ができる解像度の高さは、初めての体験だった。

ゼロサイト タカナワゲートウェイ
Photo: Kisa Toyoshima日本初上陸のサウンドシステム「Danley Sound Labs」

サウンドシステムの裏にも、2つのキネティックアートが設置されている。円が重なり、さまざまな形を作り出す「enso」と、水の入った筒がモーターで駆動し、たゆたうような光の揺らぎが床に投影される「SoW」。極上のサウンドを聴きながら鑑賞してほしい。

ゼロサイト タカナワゲートウェイ
Photo: Kisa Toyoshima円がさまざまな形を作るキネティックライトの「enso」
ゼロサイト タカナワゲートウェイ
Photo: Kisa Toyoshima光の揺らぎが床に投影されるアート作品「SoW」

クラブカルチャーのゲートウェイへ

再びラウンジフロアへ戻ると、DJのLeo Gabriel Sebbagがセレクトしたラテンジャズが、相性抜群のサウンドシステム「Void Acoustics」から流れていて、踊る人が増えていた。クラブというとつい地下にあるイメージをしてしまうが、同ヴェニューは地上2・3階に位置していて、日が沈むとともに、徐々にパーティーモードへと変貌していくのも興味深かった。

ゼロサイト タカナワゲートウェイ
Photo: Kisa ToyoshimaDJのLeo Gabriel Sebbag(NoNations/Connection)

週末のイベント開催時も23時までと、終電前までの営業。同ヴェニューを訪れた後、別のイベントへ足を延ばすという遊び方もできるだろう。また、4カ月の営業の間に2回だけ行われる特別なオールナイトイベントに加えて、高輪ゲートウェイ駅構内で全10回行われる予定のDJイベント「EKINAKA FRIDAY」も企画されている。

駅からも近く開放感あふれる空間は、クラブにあまり足を運んだことがない人にも立ち寄りやすいのではないだろうか。平日にたまたま入店した人が場所の魅力に引かれたり、「EKINAKA FRIDAY」などでDJイベントに興味を持ったりと、クラブカルチャーへの入り口としても機能してほしいと願う。まずは一度、足を運んでみてほしい。

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