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現代アート好きなら、きっと知っているであろうアートコレクティブのChim↑Pomのメンバーである卯城竜太が、今回、アーティストの涌井智仁、ナオ ナカムラとともに自身のスタジオである新宿ホワイトハウスを、新たにアートスペース、ホワイトハウス(WHITEHOUSE)としてリニューアルする。
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現在、来場する権利をパスポート制で販売中だ。パスポートは2種類あり、ノーマル1万5,000円、アドバンスド3万円。オンラインで購入でき、限定300人、販売期間は2021年3月31日(水)まで。
展示に参加する作家には、urauny、渡辺志桜里、秋山佑太、磯崎隼士、 クサムラマッドラット、オルタナティブスペースコア、ロジャー・ジャヌワタ、ナオ ナカムラなどが予定されており、アートにとどまらず、映画や音楽、クラフトビールなど、
そもそも新宿ホワイトハウスは、1957年に磯崎新の処女作として設計された建物で、1960年からは赤瀬川原平や篠原有司男らで構成されていたネオダダ・オルガナイザーズの活動拠点でもあった。1961年にネオダダが自然消滅してからは、中心メンバーの一人、吉村益信の住居として使用され、その後カフェを経てChim↑Pomのスタジオとして使用されるようになったという。
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実際に新宿ホワイトハウスを訪問してみると、Chim↑Pomやネオダダなどのアーティストの作品が随所に置かれている。
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スタジオ内は、開放感あふれる吹き抜けのロフト仕様となっており、その構造は、磯崎が設計した当時からほとんど変わっていない。室内の壁一面には、Chim↑Pomがディズニーランドでくんだ水、赤瀬川原平の『大日本零円札』、浴室脇に飾られた杉本博司による海景の写真などが目を引く。
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また、2階のロフト奥の部屋では、ネオダダ・オルガナイザーズの時期に描かれたであろう壁画があり、その作者は吉村ではないかと推測されている。この壁画は通常は非公開だが、パスポートを購入してくれた人は入室可能だ。
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リニューアルに当たって、磯崎新の建築をできるだけ残すという方針のもと、外構工事を行うほかには室内の作品を撤去するだけにとどめる。リニューアル後の室内はいったんホワイトキューブのように何もなくなった状態となり、その状態を起点にイベントごとに内装は大きく変化するという。
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パスポート制というあまり類を見ない方法で入場者を制限することについて、涌井は「今までギャラリーを訪れる人は、自身の関心にしたがっていわばつまみ食いをしているような状態だった。このパスポートを購入してくれた人には、このWHIEHOUSEという場所の最初の姿を覚えていて、それがどのように変化するかを見ていってほしい」と語った。
一つの場所でアートとその場所がどのように変わるかを体験できるのは、磯崎新やネオダダという、半分歴史になっている人物や活動の痕跡をとどめるホワイトハウス(WHITEHOUSE)ならではの体験であろうし、パスポートという会員権の販売で購入者にずっと関わってほしいという思いが感じられる。
涌井は「WHITEHOUSEとしての活動をいずれはアーカイブ化していきたい」とも語る。東京の地霊(ゲニウス・ロキ)を意識的に展開するかのような試みであり、今後どのように過去、現在、未来を接続させていくのか期待されるところだ。
2021年4月10日(土)からは、WHITEHOUSEとしての展示第1弾として、uraunyの個展『urauny dinner』を開催予定。
また、3月31日(水)まではネオダダのメンバーでもあった篠原と、田名網敬一による新宿ホワイトハウスを巡るオンライントークも配信中だ。
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