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一つだけ告白しておこう。筆者はこれまで、「締め切り」というものと健全な関係を築いたことがない。学生時代に身に付けた悪い癖がいまだに抜けず、カフェインを酷使しての徹夜作業に慣れてしまったためか、目の下にはいつもクマがある状態だ。そのため、高円寺にある原稿執筆カフェの存在を知った時は、とても興味が湧いた。
2022年4月にオープンした同店は、小説家や漫画家、翻訳家、コピーライターなど常に締め切りに追われている人たちのために作られたカフェ。「原稿が終わらないと退店できない」というユニークなコンセプトを掲げる。
「封切り酒場」レイアウトに転換終了!酒の買い出しに向かいのカクヤスへ! pic.twitter.com/TrrWDYnhg9
— 川井拓也(高円寺三角地帯) (@TakuyaKawai) May 28, 2022
筆者の自宅からカフェまでは40分ほど。正直なところ、道中でわざわざ足を運ぶ必要があるのかと疑問も感じていた。家にいてもできることを、わざわざ電車に乗ってまでする必要があるのか、と。また、17〜22時という遅い時間の予約にも後悔していた。
今日はまっちゃと一緒に仕事してます! pic.twitter.com/tesvfshJKx
— 川井拓也(高円寺三角地帯) (@TakuyaKawai) May 29, 2022
しかし到着すると、オーナーの川井拓也と1歳のチウィーニー(ダックスフンドとチワワの混血犬)の「まっちゃ」が温かく出迎えてくれる。おかげで、筆者のそれまでのモヤモヤは吹き飛ばされた。
暖かな自然光が差し込むスペースは明るく、学生時代にエッセーの執筆に使っていた24時間稼働の作業室とは雲泥の差。映画のチラシが置かれたコーナーや「Live on Air」のネオンサイン、看板やタイプライター、マイクスタンドが置かれている。そして何よりも、同じ目標に向かって努力する仲間たちに囲まれての作業は心地よいものだ。
ここでは原稿執筆カフェでのレポートを紹介しよう。
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19時
カードに書き込んだ作業目標は本ブログの執筆、そしてずっと先延ばしにしていた「ベストセックスショップ特集」の再確認だった。この記事を放置してしまったのは、筆者が「ディルド」の同義語の検索に疲れ切ってしまったためである。
そんなことを考えているうちに、秋葉原にある秋葉原にある7階建ての大人のデパート エムズのタブをのぞき込まれてしまうのではないかと不安になってきた。そのため、美術展の記事の執筆に変更した。
20時
川井による声掛けは厳しいものではないので安心してほしい。目標達成を見届けたいと思う仲間としてサポートしてくれるだけでなく、「進み具合はどうですか」という言葉とともに菓子を持ってきてくれる。
一つだけ残念なことに気づいてしまった。それは、外の道路から聞こえてくる交通音がかなり気になるということだ。最初は、高架を走る電車の金切り声やトラックのゴロゴロ音もいずれホワイトノイズに変わるだろうと期待していたが、現状悪化の一途をたどっている。
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20時45分
この時間になって、ちょっとしたスランプに陥った。作業スピードが落ちているのを感じたので、ドリンクバーをチェック。しかし湯沸かし器の前でドリップコーヒーのフィルターをマグカップにかけようとして、手を2度ほどやけどしてしまった。
少なくとも、店舗の椅子は思ったより座り心地がいい。
21時45分
かなりの量の文書を書いたが、多くの微調整が必要である。バックの交通音がどうしても気になるので、今日はあと数分で終わりにするつもりだ。
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評価
残念なことに、仕事を先延ばしにしがちな人がこのカフェを訪れても、すぐに課題を片付けられるような変身はできないということを伝えておこう。
新しいリモートワークスペースを試せるのはありがたいことだが、筆者にとって高円寺が少し遠いのが難点だ。最初の1時間の生産性はアップしたものの、毎週通う気になれなかったのが正直なところ。とはいえ、原稿執筆カフェには多くのメリットがある。
ここでは締め切りに苦しむライターのために、カフェを利用してプラスだったこと、マイナスだったことをまとめて紹介する。
プラスだったこと
- カフェや喫茶店のように他の人の会話で気が散ることがない
- 気分転換になる
- ドリンクとスナックが無料
- 最初の1時間は150円、その後1時間ごとに300円と、利用料金がリーズナブル
- かわいいワンちゃんに癒やされる
マイナスだったこと
- ノイズキャンセリングヘッドフォンをしない限り、外の交通音が気になる
- 最初に記入した目標が達成できず予定終了時刻より遅くまで残業した場合、割増料金が発生する(1時間ごとに3,000円)
- 15分おきに犬の方を向いてしまう
夜の原稿執筆カフェは5時間シフト pic.twitter.com/mgourHWluM
— 川井拓也(高円寺三角地帯) (@TakuyaKawai) May 24, 2022
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