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2024年1月19日(金)、板金の折り鶴や壁掛けオブジェを展開するウチノ板金が、東村山市の青葉商店街にカフェ「和國商店」を開業する。デザインの監修は隈研吾が担当し、印象的な外壁は約700個の緑青銅板を使用。この銅板は、広島県廿日市市の速谷神社の屋根を再加工・再利用したものだという。設計・施工は、自然素材で高性能住宅の建築を得意とする岡庭建設が手がける。
和國商店とは、屋根や外壁の板金を手がけるウチノ板金の工芸品ブランドで、板金で作成された美しい折り鶴は国内外で多くのファンを魅了。2022年からはフランスやドイツの学校、大使館、公的機関でワークショップを開催。日本の折り鶴が持つ意味や、板金の技術を海外に伝える活動も行っている。
中には、熟練の職人が手がけたという真鍮板のキッチンカウンターや同社を代表する板金の折り鶴をはじめ、板金職人の手によって繊細に加工された真鍮板の加工品が飾り付けられている。フランス人作家のステファン・シェノーとコラボレーションした犬のアニマルヘッドは、同店のために作られた新作だ。
ほかにも、キッチン、ランプシェード、シンク、巾木など細部の板金は真鍮板で彩り、板金職人のものづくり精神と遊び心を忘れないデザインが施されている。
木工家具職人・森幸太郎の手によるテーブル、家具職人のKITAWORKS製の洗練された曲線美と木の温もりが同居する椅子、陶芸家の伊藤環、ニコラ・ギリスらが手がけた食器など、国内外の職人たちの美しい手仕事品にも注目してほしい。
コーヒーは岡山県にある「キノシタショウテン」のばいせん士が同店のために作ったオリジナルブレンドコーヒーや、カフェラテを提供。フードはトーストなどの軽食のほか、鶴や芝犬をモチーフにしたかわいらしいクッキーなどが楽しめる。
同店の建設プロジェクトは、幼少期に青葉商店街で育ったウチノ板金の内野友和が商店街の文化を活用し、地域活性や職人不足、技術継承などの問題を解決できないかと隈に話を持ち掛けたことから始まった。青葉商店街は約60年前に開発されたが、現在はシャッターが目立つ状況だ。
隈は「僕は日本の板金の技術は世界一だと思っています。その中でも飛び抜けた技を持つウチノ板金の職人技術を世界にアピールしながら、青葉商店街の再スタートの象徴となるような建物をデザインしようと思いました。東村山の皆が気軽に立ち寄れる街のカフェとして、人々に愛され続けるコミュニティーの場となることを願っています」と、プロジェクトに対する思いと目標を話す。
隈のデザインと日本が誇る板金の技術を掛け合わせた同店が、注目のディスティネーションになるのは間違いないだろう。静かな青葉商店街に活気が戻る日はそう遠くないかもしれない。
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