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2020年12月27日、大阪、関目でカレーが評判のイタリアンバルが、カレー専門店のジャパニーズ スパイス カリー ワッカとして、八丁堀に移転オープンした。東京と大阪はそれぞれで独自のカレー文化を築いているが、東京にいながら大阪テイストのカレーが食べられる機会は実はまれである。
大阪らしさときめ細やかさの妙
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大阪時代は、イタリアンバルでありながら日替わりでオリジナルの創作カレーを提供していたワッカ。東京移転後「まずはあいさつ代わりに、分かりやすく『大阪らしいカレー』を作ることにしました」とオーナーシェフの三浦智輝は語る。現在はレギュラーメニューとして『大阪出汁カレー』と『無水チキンカレー』(1種盛り950円、2種盛り)、オプションとして『辛口和牛マルチョウデビル』(300円)を提供している。
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東京のカレー店ではあまり見かけないが、だしをしっかりときかせたカレーとホルモンのトッピングは、大阪では定番だ。また横浜、白楽にあるサリサリカリーのパキスタン風カレーから着想を得た、「サリサリアレンジ系」と呼ばれるオマージュカレーもひそかにブームらしく、「大阪らしさ」がこの一皿に盛り込まれている。
といっても、インパクト勝負だけではなく繊細な仕事が光っている。それもそのはず、細部まで趣向が凝らされて、例えば『出汁カレー』には、かつお節から抽出しただしと香味オイル、加えてグレイビーに赤鶏のひき肉が加えられ、うま味たっぷりのだしを引き立てている。
チキンカラヒに寄せることでカレーの魅力を引き上げた『無水チキンカレー』、辛さで秋田産の素材を生かしたマルチョウデビル、全体のバランスを取るための副菜の塩加減、カレーを楽しむために設計されたバスマティ米とカルローズ米の黄金の比率......。全てにこだわり、絶妙なバランスで完成された一皿だ。
まだあいさつ段階、ワッカらしいカレーはこれから
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ワッカの創作性の高さは、「第7回 究極のカレーAWARD2020関西」の創作スパイス部門でグランプリを受賞したことでも証明されている。しかし三浦は「大阪時代を知っている人がこのカレーを食べたら、ワッカらしくないと思うはず。まずは一つのメニューを完成させましたが、これから月替わり、週替わりでさまざまなカレーでワッカらしさを出して、大阪のカレーの魅力をもっと東京に広めていきたい」と語ってくれた。
ブームを超えてカルチャーとして根付く、「大阪カレー」の香りが漂い始め、東京のカレー前線は盛り上がっている。そのきっかけとなる創作的で自由なワッカのカレーは、間違いなく「今食べるべき一皿」だ。
テキスト:組橋信太朗
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