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街を歩いていて、空気中に漂うスイカやバブルガム、さらにはカスタードといった甘い香りに遭遇することは今や珍しいことではなくなった。ここ数年で使い捨てたばこが爆発的に広まったためだ。
だがこのうんざりするような甘い香りも、ヨーロッパのとある国ではもうすぐ過去の遺物になるかもしれない。
その国とは、フランスだ。同国の国民議会は2023年12月上旬、使い捨て型の電子たばこを禁止する法案を満場一致で可決した。早ければ2024年9月にも施行される。
上院に当たる元老院と欧州委員会での審議はこれからだが、健康と環境問題への関心の高まりや、議員の積極的な姿勢を踏まえると、通過する見込みはかなり高いと言えそうだ。
フランスではごく最近、公園やビーチといった公共の場所で喫煙を禁止する計画が発表されるとともに、たばこ税を引き上げる方針であることが報じられたばかり。だが使い捨てたばこの禁止は、それよりもさらに踏み込んだものだ。
フランスでは使い捨て電子たばこの価格は約9ユーロ(1,400円)で、紙たばこ20箱よりも安い。反対派は、この安さとカラフルな見た目、そしてスイーツを模したフレーバーといった特徴が若い世代をターゲットとしたものであるとして、製造者側を糾弾してきた。
たばこに反対するフランスの市民団体である「Alliance Contre le Tabac」は、同国の13〜16歳のうち15%は、少なくとも一度は電子たばこを吸ったことがあるという調査結果を発表している。そのうちの多くは11・12歳で初回を経験しているそうだ。一般に電子たばこは紙たばこに比べて健康被害が少ないと考えられているが、出回り始めてからの日が浅いため、長期的な影響は未知数である。
また、考慮すべきは健康問題だけではない。ル・モンド紙に寄稿したフランス人医師や環境活動家らのグループは、電子たばこの使用は環境面においても「惨禍」だと言う(参照:BBC)。
フランス国外のデータだが、イギリスの環境保護団体「Material Focus」の調査によると、同国で1週間に廃棄される使い捨て型電子たばこの数は100万個以上だという。容器の原料はプラスチックで、リチウムバッテリーが封入され、微量の重金属も含まれている。
ニュージーランドとオーストラリアでも、この冬から使い捨て電子たばこを制限する施策が導入される。ヨーロッパにおいても、イギリス、アイルランド、ドイツといった国々が制限を検討、ないし着手している。
これは、むっとするような香りを放つあの小さなデバイスの時代が終わろうとしているということだろうか? 少なくとも環境のために、そうであることを願おうではないか。
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