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パラリンピックではどのようにインクルーシブかつ平等な競技環境を確保しているのだろうか。そして、なぜパラスポーツの方が金メダルを多く獲得できるのかを疑問に思う人もいるかもしれない。
パラリンピックの競技種目は22種とオリンピックに比べて少ないが、獲得できるメダル数が少ないわけではない。今回の大会で獲得できる金メダルの数は539個で、東京オリンピックの339個よりも200個も多い。パラリンピックではアスリートが同じ土俵で戦えるように「クラス分け」や「ポイント制度」といった独自の制度があるため、このようにメダル数の違いが出てくるのだ。ここでは、このシステムの仕組みと必要性について紹介したい。
障がいの基準とは?
クラス分けは、国際パラリンピック委員会(IPC)の基準に沿って、国際競技連盟や国際障害者団体が規則を定めている。このクラス分けの要素は、選手の筋力や障がいの程度、日常生活での動作能力、競技スキルなどを総合的に判断。IPCが定める障がいの基準は以下の10種類。少なくとも1つは持っていなければ大会には参加できない。
・筋力低下
・他動関節可動域障害
・四肢欠損
・脚長差
・低身長
・筋緊張亢進(こうしん)(手足の筋肉が過剰に緊張し、動作が困難になる疾患)
・運動失調(協調性、バランス、言語に影響を及ぼす神経系の疾患)
・アテトーゼ(無意識に手足を動かすような運動障がい)
・視覚障害
・知的障害
「視覚障害者5人制サッカー」や「ゴールボール」のように、視覚障がいのある選手のみが参加できる競技もある。水泳などのスポーツは、10の障がいのいずれかがある選手が参加可能だ。
スポーツのグループ分け
クラス分けの2つ目の要素は、障がいが各アスリートのパフォーマンスにどの程度影響するかを判断することだ。障がいの程度は人によって異なるため、この分類システムは、選手が同じような障がいの程度がある競技者とグループ分けし、不利な状況を最小限に抑えるために行われる。
例えば、視覚障がいのある選手は、視界の鮮明さや光の感じ方によって3つのクラス(B1、B2、B3)に分けられる。5人制サッカーは、B1クラスの基準を満たす選手に限定。B1クラスは、光を感知できないなど視覚障がいのなかで、最も程度が重いクラスだ。一方、ゴールボールは3つのクラス全ての視覚障害者に開かれているが、競技中は選手全員にアイシェードの着用が義務だ。
また、陸上競技のように10種類のいずれかの障がいがある選手が参加できるスポーツでは、さらに多くのクラスが設けられ、各カテゴリーごとの選手や程度が異なる選手が参加できる。各クラスには、それぞれのメダル種目がある。
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