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2022年世界のトレンド:鉄道の「第2次黄金時代」が到来

ヨーロッパで新路線が続々登場、アメリカではインフラ整備強化

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Ed Jefferson
Train travelling through the mountains
Image: Shutterstock / Time Out
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このところ、あらゆる形の旅行がいつもより少し複雑になっている。余分な危機管理や心配なくいろいろなところに出かけられるようになったら(そう祈ろう)、どんな旅をしたいだろうか? 2022年、我々がおすすめしたいのは、「鉄道の旅」だ。

その大きな理由は、選択肢の拡大。今年は、世界各地で新しい鉄道路線の開通が多く控えている。つまり、クリーンで快適、そして気軽に、これまで以上に多くの場所へ行けるようになるというわけだ。

動きが活発なヨーロッパ

2022年、最も状況が変わるのがヨーロッパだ。同地ではここ数年で長距離夜行列車が復活していて、今後1年でさらに増える。

例えば2022年後半、ストックホルム〜ハンブルグ間(コペンハーゲン経由)に新しい夜行列車が走る。運行するのは、スウェーデンの国有鉄道であるSJ。ドイツの線路を走るにはSJ車両がやや幅広のため、同国のRDC社と提携し、サービスを実現する。ヨーロッパの長距離列車で、国際協力が重要であることをよく示している事例となった。

このほかにも、ブリュッセル〜プラハ間、チューリッヒ〜ローマ間、エジンバラ〜パリ間などでも、夜行列車が新規導入される。さらに、1970年代の全盛期にクラフトワークの曲の中で歌われたこともある、ヨーロッパ横断特急の復活計画も進行中だ。

ヨーロッパ最大の夜行列車運行会社で、Nightjetを運行するバーンハード・リーダーは「2026年までに乗客数が倍増する」と予想。同社は新しい取り組みの一つとして、パリ〜ウィーン間で新しい夜行列車の導入を準備している。これは、2009年に廃止されたオリエント急行ルートの実質的な復活で、路線番号もオリエント急行と同じ「469」を使うという。

こうした新規計画の多さは、ヨーロッパの鉄道業界のさまざまな努力が徐々に報われ、うまくいっているとを表してるといえる。

進むイギリスの「鉄道復活」計画

ヨーロッパの中でも、イギリスについては、鉄道に関する良いニュースが聞こえてこないという印象があるかもしれない。確かに、バーミンガム〜リーズ間の高速鉄道となるはずだったHS2の建設計画が一部廃止となったのは残念(少なくとも鉄道ファンは失望)だったが、実際はそう悲観的な話ばかりでもない。

今年は、本当に数えきれないほどの遅延の末、ついにクロスレイルのエリザベス線が開通する。これにより、​​レディング(またはヒースロー空港)からロンドン中心部へ直接乗り入れが可能になり、(本当に必要だと感じたら)もっと乗り続ければ、エセックスのブレントウッドまで行くこともできるようになるのだ。

また、イギリス政府が進めている鉄道復活計画『Restoring Your Railway』も順調だ。すでにダートムーア地方で一つの路線復活を実現させ、エクセターとデボンのオケハンプトン間を結ぶ定期列車の復活も成功。2022年にはこの路線が1時間に1本の運行に拡大される予定で、ほかにもさらに37路線の復活が検討されている。

60年前のリチャード・ビーチングによる路線削減以来、駅がなかったイギリス最大の街一つである、ニューカッスル・アンダー・ライムを通る路線では、復活に向けた工事がすでにスタート。このケースのように、イギリスにおいて本来あるべき場所での鉄道復活については、運が良ければ2022年中にさらなる発表があるかもしれない。 

そして、イギリス国内で少し遠出をしたい人への朗報もある。2021年10月、ロンドンとエジンバラ間の旅(所要時間は4時間30分)を、20ポンド(約3,100円)前後という低価格帯で提供する鉄道ブランド、Lumoが登場した。Lumoは、国内線飛行機の時間や料金に負けないサービスの提供を目指していて、2022年には1日5便に拡大する計画だ。

このような実験が長期的にうまくいくかどうかはまだ分からないが、鉄道に何らかのアドバンテージを持たせるのは、確かに良いアイデアだと思う。それは、鉄道が環境に優しいからという理由だけではない。旅に出るに当たり、空港ではなく、鉄道の駅に向かえばいいのであれば、それに越したことはないからだ。

アムトラック網を拡大するアメリカ

一方、大西洋を挟んだ大陸にあるアメリカでは、2022年に真の鉄道革命が始まると見られている。大統領のジョー・バイデンが推進し、最近成立したインフラ法案には、アムトラックの鉄道網を拡大するための660億ドル(約7兆6,000億円)という、1971年の同鉄道設立以来最大の投資額が含まれている。

この法案では、現在駅がない160カ所を鉄道網で結び、今後15年間で乗客数を2000万人以上増加させることを目指している。法案成立について、アムトラックの社長であるスティーブン・ガードナーは、「移動性の向上、経済成長、温室効果ガス排出の削減」というメリットを強調した。まったくその通りである。

この投資の影響は、アメリカ全土に及ぶ見込み。テキサス州、テネシー州、ジョージア州などの南部を結ぶ新路線の構築、ロサンゼルスとラスベガス間のアムトラック復活、北東部の老朽化したインフラの大規模な修復などが計画されている

アメリカ人を車から引き離すのは難しいかもしれないが、鉄道が長い間軽視されてきたこの国において、こうした新たな取り組みが見られるのは心強いことだ。

鉄道の建設や新しい路線の交渉は、一朝一夕にできるものではない。そのため上記の例のように、2022年に新規の路線やサービスの導入がなくても、鉄道関連で何かしらの新しい動きを見せている国は多い。

2022年が鉄道における「第2次黄金時代」の始まりの年であるのは間違いないだろう。

原文はこちら

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