ニュース

2022年世界のトレンド:ナイトライフを変える暗号資産

NFTとブロックチェーン技術が浸透するエンタメの現場

Will Gleason
テキスト:
Will Gleason
Content Director, The Americas
広告

もし暗号資産(仮想通貨)が、未来のナイトライフにどんな影響を与えるかと尋ねられたら、どう答えるだろうか。クラブでITに詳しい男に近寄られ、その時のお気に入り「コイン」をしきりに勧められる? そういうことも増えるかもしれない。

しかし、世の中はもっと進化している。暗号資産は世界の主流になるにつれ、社会生活により興味深くて新しい方法で関わってくる。我々の2022年の生活において、(たとえ、犬をテーマにしたミームコインでなくても)新しい決済手段として、もしくは拡張体験や仮想の集まりなどで、暗号資産が使われることは増えるはずだ。ナイトライフシーンを中心に、アメリカの暗号資産活用の現状を見てみよう。

ニューヨークでは新市長がリード

2022年1月からニューヨークの新市長に就任したエリック・アダムスは、昨年の市長選で勝利して早々、ニューヨーク市を暗号資産産業のハブに変貌させるビジョンを熱烈にアピールして話題を呼んだ。

アダムスは、就任後最初の3回分の給与をビットコインで受け取ると発表したのだ(現在同市は、暗号通貨の購入と取引のライセンスを取得するのがアメリカで最も困難な場所の一つ。そのため、道のりは長そうだが)。

ニューヨーク市ナイトライフ​局のシニアエグゼクティブディレクター(市政府におけるナイトライフ業界向けの窓口役)であるアリエル・パリッツは、暗号資産がニューヨークの同業界に影響を与えるのは必然だと考えている。

「暗号資産は、最近の成長と社会の本流への取り込みにより、この先のニューヨークのナイトライフ業界に重大かつ、必然的な影響を与えるでしょう。この街のヴェニューは、素晴らしい文化的イノベーションが頻繁に起きる場所。DJやそのほかアーティストが、今を収入アップや投資の時としてとらえ、集めたくなるNFTアイテムの販売やクラブの会員化を仕掛けるのをすでに目の当たりにしている」

2021年12月に開催された「暗号試算界のコーチェラ」と呼ばれる『NFT.NYCカンファレンス』は、暗号資産とナイトライフが結びついた新世界が垣間見られた機会だった。イベントの​​ハイライトは、Bored Ape Yacht Clubのメンバー限定のヨットパーティーや、プレイボーイ誌が自社のNFTコレクションであるRabbitarsを宣伝するために開いたパーティー。またDAO(自律分散型組織)の一つがブルックリンで開いた、現実世界でのパーティーも話題だった。

最前線はアイアミ

XXII Club
Photograph: XXII Club

また、すでに熱心に暗号資産を受け入れているナイトライフシーンがあるのがマイアミだ。E11evenやXXIII Clubなどのようにビットコインでの支払いができたり、ビットコインATMまで設置しているヴェニューがある。XXIII Clubでは、株式市場のティッカーが周囲に流れているので、ダンスフロアで体を揺らしながら暗号資産に目を配ることもできる。

一方、ロサンゼルスとラスベガスにある仮想通貨MOREのプライベートクラブでは、トークンを5000枚以上所有する人に会員資格を提供している。

しかし、ナイトライフ絡みの暗号資産の全てが、限られた人へ特別サービスを提供するためだけのものというわけではない。実際、NFTとブロックチェーン技術は、高級クラブへのアクセスやドンペリニヨンボトルの支払い以外にも、身近な体験をより有意義にするために使われている。例えば、ファンクラブやコンサートでの活用だ。

ファンクラブやコンサートでの活用

ワシントンD.C.に拠点を置くブロックチェーン協会のエグゼクティブディレクターであるクリスティン・スミスは、NFTがアーティストとファンとの関係を強化することをイメージしている。特にライブパフォーマンスにおいて、だ。

「2022年は、ある公演に関連する限定アートワーク、舞台裏動画、公演終了後も長く盛り上がることができるデジタルグッズなど、ファンに焦点を当てたNFTが引き続き成長すると思われます。例えば、ビートルズが最後のコンサートを前にして、舞台裏の映像をNFTとしてオークションにかけることを想像してください。2022年には、こうした企画がもっと増えていくでしょう。ファンクラブはアーティストが観客と関わるための重要な方法でしたが、NFTはこの関係に新しくエキサイティングなレイヤーを追加してくれました」

地元のコンサート会場のグッズ売り場でコンサートの舞台裏の映像や特別なデジタルグッズを購入したり、イーサリアム購入者が入れるパーティーでビットコインで支払ったカクテルを飲んだりと、今後12カ月間、仮想と現実はより多くの方法で重なり合うはずだ。 

パリッツは今の状況をこう表現する。「暗号資産に感じる『よく分からない感じ』は、『.com』時代やソーシャルメディア・プラットフォームが出現した時と似ている。何かが起こっていることは皆知っていたが、それが我々の行動全てに与えるものになるという本当の影響には気付いていなかった」

パリッツは、人々を興奮で満たす時代が来ることを確信しているようだ。

原文はこちら

関連記事

日本初のバーチャルスニーカーが9分で完売、価格は140万円

2022年世界のトレンド:「カーフリー 」な街づくり

2022年世界のトレンド:鉄道の「第2次黄金時代」が到来

タイムアウトが2022年にするべき22のことを発表

2022年に行くべき新施設とイベント8選

東京の最新情報をタイムアウト東京のメールマガジンでチェックしよう。登録はこちら 

最新ニュース

    広告