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2014年に完成した「虎ノ門ヒルズ 森タワー」から変貌し続けてきた虎ノ門エリアに、東京メトロ日比谷線「虎ノ門ヒルズ駅」直結の「虎ノ門ヒルズステーションタワー」が開業。高さ約266メートル、地上49階建ての最上部にオープンするのが、東京の「今」を世界に発信する、全く新しいコンセプトの拠点「トウキョウ ノード(TOKYO NODE)」だ。
イベントを開催する「ギャラリー」や「ホール」、ビジネスにおける共創を生み出す「ラボ」「スタジオ」、そして国内外から人々が集う「カフェ」「レストラン」や「スカイガーデン&プール」と、領域やジャンルを越えた「NODE=結節点」となり、新たな体験やコンテンツを創出することを目指している。
森美術館にも匹敵する広さの「ギャラリーA・B ・C」
45階の「ギャラリー」は、AからCまで3つの空間それぞれ、もしくは複数を連結させて総面積約1500平方メートルもの大空間で展示できるギャラリーだ。これは「六本木ヒルズ」最上部にある「森美術館」にも匹敵する広さだという。
そのオープニングを飾るのは、世界初公開の没入型ライブパフォーマンス「Syn : 身体感覚の新たな地平 by Rhizomatiks × ELEVENPLAY」。ライゾマティクス(Rhizomatiks)を主宰する真鍋大度、石橋素らとともに、演出振付家のMIKIKO率いるダンスカンパニー イレブンプレイ(ELEVENPLAY)が、38日間限定で行う特別な公演だ。
観客たちは座席に座って鑑賞するのではなく、広大な舞台美術の世界を自ら歩いて移動する。言語を介さず、自在に変形する空間と立体音響、照明、最新の複合現実(MR)、そして目の前で繰り広げられるトップダンサーたちのパフォーマンスとインスタレーションが、約70分間ノンストップで渦のように目まぐるしく展開していく。
その圧倒的な演出に巻き込まれていく観客たちは、果たして自分が体感しているものは、目の前でリアルタイムに起きているのか、デジタルで作られた幻想なのか、パフォーマンスが進むにつれ境目があやふやになっていくような、不思議な感覚と没入感を味わえるだろう。
AI(人工知能)のある日常が当たり前になりつつある現代で、AIが進化の果てに創造主である人間を解析、改めて「人間の感覚」を問い直していく、というストーリーとテーマから構想された本展。これまでのステージパフォーマンスとも、デジタルアートの展覧会とも異なり、カテゴライズできない新たなジャンルの公演と言えるかもしれない。
会場内は一部エリアを除き、写真や動画撮影(連続しての撮影は1分間まで)が可能だが、観終えた後には、写真や映像だけでは決して伝わらない、五感を研ぎ澄まして味わう醍醐味をきっと実感できるはずだ。チケットは公式ウェブサイトからの完全予約制だ。すでに完売した回も出ている。
同ギャラリーでは、2023年12月から写真家・映画監督の蜷川実花による空間体験型の展覧会「蜷川実花展:Eternity in a Moment」が開催予定だ。
全国各地の旬の食材が味わえる「TOKYO NODE DINING」
「ギャラリー」がある45階には、イベント前後のカフェからランチ、ディナーまで、さまざまな時間帯やシーンで楽しめるオールデイダイニング「TOKYO NODE DINING」がオープン。
時間帯によって表情を変える東京の景色と天井高の開放的な客席で、イタリアンクラシックをベースに全国各地の食材を使ったメニューや、「ギャラリー」での展示と連動したコラボレーションメニューも楽しめる。
また、看板メニューとも言える絶品のバスクチーズケーキのほか、「虎ノ門ヒルズ横丁」内にある「虎ノ門蒸留所」のジンを使用したカクテルやハイボール、全国のナチュールワインなど、アルコール類も豊富に揃う。
世界で活躍する日本人トップシェフのレストランがルーフトップガーデンに登場
最上階である49階には「スカイガーデン&プール」のエリアが広がる。丸の内やスカイツリーなど、東京の景色とつながるようなインフィニティプールが中央に配され、その左右にはエクスクルーシブなレストランがオープンする。
11月21日(火)オープンするフレンチガストロノミー 「アポテーゼ(apothéose)」は、フランスで星を獲得したシェフ・北村啓太が常駐するレストランだ。温故知新の精神と、これまで受け継がれてきたフレンチの調理技法で、日本の文化や素材の産地と特性を尊重しながら、新たな感性で「記憶に残る料理」を創造するという。
そして、2024年1月にオープン予定なのが、ガストロノミーグリルフランセーズ&バー「ケイ コレクション パリ(KEI COLLECTION PARIS)」。フランスでアジア人初となるミシュランフレンチ3つ星を獲得したシェフ・小林圭が新たに立ち上げる、劇場型ラグジュアリーレストランだ。
「大人の遊び場」をコンセプトに、素材にこだわり、遊び心をとりいれたライブ感あふれるフランス料理と空間が楽しめるという。
「スカイガーデン&プール」のフロアは、ここで開催されるイベントや、レストランの利用客のみが入場可能。特別感あふれる空間だ。
東京を一望できる最新鋭の空間「トーキョー ノード ホール」
46階の「トーキョー ノード ホール(TOKYO NODE HALL)」は、座席数 338席、面積460平方メートル。会場でのリアルな演出と、体験価値の高いバーチャルの配信をハイブリッドで行える、XR時代を想定した最新鋭の設備を備えている。
東京を一望できる大きな窓を背景に、全世界に同時配信するようなビジネスのプレゼンテーションから、音楽などのライブパフォーマンス、エクスクルーシブなパーティーまで、幅広い形式・レイアウトに対応可能だという。
ここまで柔軟かつ多彩なイベントに対応できる空間は、都心では非常に貴重だろう。しかも宿泊や飲食などイベントに付随するあらゆる事柄が、同じビルの中でハイレベルのホスピタリティの下に完結できる点も、国内外からゲストを招く機会などに大きな魅力となりそうだ。
また施設内には、クリエーターや企業が集まって都市体験やコンテンツづくりを研究する「ラボ」も併設。ビジネス、アート、テクノロジーといった領域をクロスオーバーさせた新たな価値を創出することを目指し、さまざまカンファレンスやイベントを開催予定だという。
建築とパブリックアートにも注目
「虎ノ門ヒルズステーションタワー」は名前の通り、東京メトロ日比谷線「虎ノ門ヒルズ」駅と周辺エリア一帯を、新たな街のような視点で開発し、誕生したビルだ。設計を担当したのは、Office for Metropolitan Architecture(OMA)パートナーでニューヨーク事務所代表の建築家・重松象平。2022年に「東京都現代美術館」で開催された「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展の空間設計を手がけたことも記憶に新しい。
実は、高層ビルの最上部にギャラリーやホール、レストラン、そしてインフィニティプールまで兼ね備えた同フロアの構想は、グローバルに活躍を続ける重松の提案が発端になったという。都市計画の視点で建築を手がけるOMAにとっても、東京では初めて、かつ代表作とも言える大規模な建築プロジェクト。
ビルや敷地内に点在する国内外のアーティストによるパブリックアートの数々と合わせ、生まれ変わった虎ノ門の街を探索してみてほしい。
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