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「東京インターナショナルバーショー」記念すべき第10回開催、目玉はシークレットバーの数々

めくるめくお酒の祭典へ、ようこそ

Tamasaburo
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Tamasaburo
BAR評論家
東京インターナショナルバーショー
Photo: Tamasaburo
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新型コロナウイルスの蔓延(まんえん)により、2020年から22年にわたり中断されていた「東京インターナショナルバーショー」は、昨年4年ぶりの開催を受け今年2024年5月11日・12日に第10回を迎えた。⁠⁠2012年、六本木の「東京ミッドタウン」で初開催、翌年は渋谷で開かれ、以降「東京ドームシティ プリズムホール」が全国の「BAR GOER」の聖地と化している気さえする。今回は54社が出展。1万4500人が年に一度のお酒の祭典を訪れた。

昨年は、京都の山崎に日本初のウイスキー蒸留所が誕生してから100年目に当たり、サントリー、ニッカ、キリン、ベンチャーウイスキー、マルスの5社がそれぞれ自身の原酒を持ち寄り、100周年を記念したウイスキーをブレンドする企画を敢行。5社それぞれのメーカーが自社の原酒を60%未満使用、さらに他社が提供する原酒を5以上活用するというルールを設け、その中で各社の「日本ウイスキー100周年」ブレンドウイスキーを繰り出した。これが会場のみで味わえるとあって、ウイスキー好きが歓喜。それぞれ思い思いに、各メーカーの一杯に感想を語り合ったのも記憶に新しい。

今回はそうした目玉は告知されておらず、さすがに10回となると昨年のようなビッグな企画もなかろう……と思い会場に足を運ぶと、さすが趣向を凝らすメーカーは目の付け所が違った。バカルディ、ディアジオ、サントリーは会場に臨時のシークレットバーを設置。ブースに立ち寄れば気軽にテイスティングできるという展示スタイルをとらず、整理券を入手、またはお目当てのセミナーに向け順番待ちすることで、各社のおすすめにありつけるシステムを展開した。11時の会場とほぼ同時に整理券が尽きてしまう人気バーもあり、年に一度の祭典の中で、さらに特別な体験を得るには、一苦労が見られた。

バカルディは「#WHISKEY THEATER by BACARIDI」と題し、ミニシアターでブランドのストーリー解説の後、テイスティングバーへの導入を図る趣向を凝らした。ここで今回初来日、デュワーズのマスターブレンダー、ステファニー・マクラウド(Stephanie Macleod)がレクチャーを行い、デュワーズの「ダブルダブル」21年、27年、32年のそれぞれをテイスティングする機会に恵まれた。デュワーズをハイボールで味わうキャンペーンを多々、見かけるため、デュワーズの味をご存じの方は多いだろう。しかし、このダブルダブルはまったくの別物。熟成された数十種類のモルトウイスキーとグレーンウイスキーをそれぞれブレンドしたのち、また樽を使用し後熟。その後モルトウイスキーとグレーンウイスキーを再びブレンドし、樽で3度目の熟成。さらに21年、27年、32年ごとにそれぞれの樽で仕上げる4段階の熟成プロセスを経て、世に出る。これにより32年は、2020年の「ウイスキーオブザイヤー」を受賞、マクラウド自身も3年連続で「マスターブレンダーオブザイヤー」を獲得している。テイスティングしていた聴衆から「このウイスキーで賞を獲れると思いましたか?」と質問を受けると彼女は「皆さんに味わい、楽しんでいただくために作り上げたのであって、賞を狙うためではありません。皆さんに楽しんでいただいた上で、賞をいただいたのは喜ばしいことではあります」と優しく答えた。実は私は2016年、スコットランドのグラスゴーに足を運び、蒸留所で彼女のレクチャーを受け、自身のブレンド作りに挑戦した過去がある。マスターブレンダーとは言え、おごるところは一つもなく、物腰の柔らかいジェントルな人柄が、そのウイスキーにも現れているに違いない。ダブルダブルは、どれも非常にシルキーで上品な仕上がり、特に32年は別格だった。

東京インターナショナルバーショー
Photo: Tamasaburoステファニー・マクラウド

「ディアジオ ラグジュアリー バー」はわずか5席しかない贅沢空間。こちらではジョニーウォーカーのブランドアンバサダー、金子亜矢人(あやと)ベンツェが、ブルーラベルの魅力を、そしてドンフリオのブランドアンバサダー、コーエン力雄(りきお)が「1942」のゴージャスさについて、語り尽くした。「アンバサダーの熱意、ここに」という2人のプレゼンテーションは、もっと広くの愛好家に知られてほしいものだ。

東京インターナショナルバーショー
Photo: Tamasaburo金子亜矢人ベンツェ

サントリーは4月3日にスタートしたアニメ「バーテンダー 神のグラス」とのコラボレーション、劇中に登場する「Edenhall」というバーを再現。こちらのカウンターには、サントリーの「アワード」を獲得したバーテンダーがずらり。それぞれのバーテンダーが、神のグラスにふさわしい腕をふるった。

かつては、限定ボトルの整理券を求め、開場とともに場内を走る勇ましい客もあったが、運営も成熟し、スマートなお酒の祭典へと進化しているのを感じた。近年はインバウンド効果もあってか外国人客も多く、まさに「インターナショナル」なイベントとなっている。もし、少しでも洋酒を嗜まれる方で足を運んだ経験がないという方、こちらは必見のお祭りですぞ。

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